2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子・細胞・個体レベルにおける動物の光環境応答とサーカディアンリズム
Project/Area Number |
14104003
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80165258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 大輔 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (60376530)
広田 毅 東京大学, 大学院理学系研究科, 拠点形成特任教員 (50372412)
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Keywords | 概日時計 / CREB / 松果体 / ゼブラフィッシュ / Per / グルコース / TIEG1 / Bmal1 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、下記の成果を得た。 1.ニワトリ松果体に発現する時計遺伝子Per2の上流にCRE配列が存在すること、および、松果体にはCREBファミリーに属する複数の転写因子が発現していることを見出した。これらのうちCREBに注目して研究を進め、in vivoにおけるChIPアッセイを行なったところ、CREBはPer2遺伝子上流のCRE配列に結合し得ることが判明した。しかし、Per2遺伝子の上流配列を用いた転写アッセイにおいては、CREBによる有意な転写活性化は見られなかった。現在、他のCREBファミリー蛋白質が松果体において発現していることを確認し、そのPer2遺伝子上流への作用を検討中である。 2.末梢時計のモデル細胞Rat-1において、グルコース刺激に伴って概日時計がリセットされることを見出した。このリセットはPer1遺伝子の誘導を伴わない新規のメカニズムを介すると推定される。そこで、グルコース刺激に応答してmRNA量が急上昇するTieg1遺伝子の詳細な研究を行った。その結果、TIEG1タンパク質はグルコース投与によって発現量が急速に上昇し、Bmal1遺伝子プロモーター上に存在するGC boxに結合して転写を抑制することが判明した。さらに、TIEG1の機能をsiRNAによって阻害したところ、時計遺伝子発現のリズム周期が短縮したことから、TIEG1はBmal1遺伝子の転写調節を介して概日時計の発振にも関与すると考えられた。 3.昨年度までの本研究において、ゼブラフィッシュの松果体特異的な遺伝子発現を導くシス配列PIPEを同定した。そこで本年度は、PIPEに結合する転写因子を同定するため、酵母のone-hybrid系を用いたスクリーニングを行った。その結果、ゼブラフィッシュ全身cDNAライブラリーからPIPE結合因子の候補を複数同定することに成功した。これらの候補遺伝子はゼブラフィッシュ松果体に発現しており、生理的なPIPE制御因子である可能性が高いと考えられた。
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