2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14104013
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
住本 秀敏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00306838)
松崎 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
工藤 千恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90424126)
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Keywords | 腫瘍抗原 / 免疫療法 / 大腸癌 / 膵癌 / DNAチップ / 腫瘍マーカー / 免疫回避 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
大腸癌の癌部・非癌部の網羅的遺伝子発現解析により、大腸癌で高発現する分子KU-CR4,-CR5を同定解析した。KU-CT-4は膜型と分泌型のアイソフォームをもち、大腸癌に選択的に比較的初期癌から発現がみられ、早期診断の腫瘍マーカーとして有用な可能性があり、また、膜型分子は抗体治療の標的になる可能性ある。現在、ELISAや抗体療法に使用可能な抗体作成を試みている。前年度までに同定したKU-CT5は、発現とリンパ節・遠隔転移とに相関が認められ、大腸癌の悪性度診断に利用できる可能性がある。KU-CR5は大腸癌でオルタネティブスプライシングによる腫瘍選択的に発現する蛋白領域がみつかり、免疫療法の標的として有用な可能性が示された。本研究で同定した2抗原において、HLA-A24遺伝子導入マウスとヒト末梢血in vitro T細胞誘導法を用いてT細胞エピトープを同定した。癌細胞の異なる細胞集団の免疫学的解析のために、癌幹細胞と上皮間葉転換を検討した。癌幹細胞の標的を探索するために、side population法で膵癌から幹細胞様性質をもつSP分画の分離に成功し、SPとnon SP分画で癌精巣抗原の発現が異なることを明らかにした。さらにGeneChip解析によりSP細胞に高発現する抗原候補を同定した。また、膵癌や大腸癌ではTGF-・等による上皮間葉転換により、癌精巣抗原や免疫制御分子の発現が変化することを見いだした。すなわち、異なる癌細胞集団における分子発現を考慮した免疫療法の計画が重要であることを明らかにした。癌細胞の免疫回避機構については、大腸癌や膵癌では、BRAFだけでなくRAS活性型変異に起因するMAPKシグナル抗進により、複数の免疫抑制性可溶性分子が産生され、樹状細胞の成熟化阻害を起こすことを明らかにし、今後、RNAiや分子標的薬の併用による免疫療法改良が期待される。
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