2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化の分子機構解明及び老化を標的とした癌分子標的療法の解明
Project/Area Number |
14104014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀則 九州大学, 大学病院, 講師 (60214392)
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
松田 貴雄 九州大学, 大学病院, 助手 (10304825)
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
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Keywords | 細胞老化 / proline hydroxylase / NECC1 / 絨毛細胞分化 / エストロゲン受容体α / 分子標的治療 / p21CDKインヒビター / ROS |
Research Abstract |
1.1q42領域に存在する細胞老化誘導遺伝子:子宮体癌細胞に老化を誘導するORF12cDNAを単離した。 ORF12はproline hydroxylase活性を有し、 HIF-1αを水酸化する事によりVHLによるHIF-1α蛋白分解を亢進することが判明した。ORF12cDNAを子宮体癌細胞へ遺伝子導入すると細胞老化が誘導された。30%を越える子宮体癌組織及び細胞株でORF12遺伝子変異が検出され、同遺伝子が存在する領域にLOHも観察された。 2.絨毛癌細胞に分化プログラムを再構築するNECC1/HOP遺伝子:NECC1-/-胎盤を用いて解析した結果、 NECC1はE8.5-10.5胎盤でのみ一時的に発現し、巨細胞への分化を負に、海綿層細胞への分化を正に制御する事か示唆された。NECC1はSRFと結合し、SRF転写因子の機能を負に制御する事により分化制御に関わる。ラットRCHO-1細胞(トロホブラスト幹細胞としての性格を有する)に分化刺激を与えた場合も一時的発現パターンを示す。ドミナント・ネガティブSRF変異体発現によりNECC1発現時と同様、分化刺激存在下でのRCHO-1細胞分化を阻害した。 3.細胞老化誘導に関与するRas/ERα:ERαはRasの下流で細胞形質転換に機能する。ERαの機能的不活化はP14^<ARF>欠損細胞にMDM2/p53/p21シグナル伝達を介して細胞老化を誘導する。MDM2を不活化する手段としてsiRNAを、またERαを不活化する手段としてMEK阻害剤と抗エストロゲン剤の同時投与を採用し、子宮体癌及び卵巣癌細胞における老化誘導を検討した。その結果、両法共に癌細胞老化誘導能を示すことが判明した。MEK阻害剤は有毒であるが、低濃度で老化誘導が示されたため、今後の分子標的治療開発へ有用であることが判明した。 4.細胞老化誘導に関与するp21シグナル:p21欠失変異体を用いた解析により、CDK結合領域に細胞老化誘導能を認めた。また、p21発現の顕著な亢進は癌細胞にアポトーシスを、中等度発現では老化が誘導された。本細胞老化の誘導にRb蛋白は必須ではなく、ROS阻害剤によりp21により誘導される細胞老化は消失した。このためp21下流でROS蓄積に伴うDNA損傷と細胞老化の誘導との関連が示唆された。
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Research Products
(6 results)