2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成・再編成におけるCNRファミリーの生体内機能の解析
Project/Area Number |
14104025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 敬浩 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助手 (40297015)
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Keywords | カドヘリン / 多様性 / 脳神経 / 神経細胞 / 神経回路 / 遺伝子クラスター / 行動 / ゲノム |
Research Abstract |
脳神経系は複雑なシステムであり、莫大に多様化した神経細胞が神経回路を形成している。神経細胞の多様化と神経回路形成における分子メカニズムを明らかにする目的で、本研究では、ゲノムにおいて遺伝子クラスターを形成し、脳で発現する多様化受容体型分子群、CNR/プロトカドヘリン(CNR/Pcdh)に注目して研究を進めている。これまでの研究から、CNR/Pcdh遺伝子は個々の神経細胞の多様性に関わることが示唆されている。本年度は、このCNR/Pcdh遺伝子群の単一神経細胞における発現制御を総合的に明らかにする目的で、マウス小脳プルキンエ細胞におけるα、γ遺伝子クラスターの遺伝子発現の解析を行なった。その結界、α遺伝子クラスター、γ遺伝子クラスターにおいて最も下流に位置するアイソフォーム遺伝子(αc1,αc2,γc3,γc4,γc5)は、ほとんど全てのプルキンエ細胞において発現しており、これらの遺伝子発現は両対立染色体(遺伝子クラスター)からやたらされていることが明らかとなった。また、α遺伝子クラスターにあるαアイソフォーム(13種)とγ遺伝子クラスターにあるγA,γBアイソフォーム(20種類)については対立遺伝子ごとに独立した発現制御が認められ、個々のプルキンエ細胞において異なるα、γアイソフォームが同一細胞中で発現しており、αγの組み合わせにより10^5に及ぶ多様性をもたらすことが可能となる。また、αc1,αc2,γc3,γc4が脳発達過程で低下して行くのに対し、γc5は発現増加が報告されており、神経細胞の発達過程における多様性への関与も示唆された。また本年度は、CNR/Pcdhにおいて始めてタンパク質構造解析を明らかにし、古典的カドヘリンとの構造や機能における違いを明らかにした。また、CNR/Pcdhαアイソフォームの遺伝子変換マウス作製に成功し、神経回路形成におけるα遺伝子クラスターの役割、行動制御との関連性についても成果が得られている。
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Research Products
(13 results)