2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション状況下における芸術の論理と倫理
Project/Area Number |
14201005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 一美 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60065480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尼ヶ崎 彬 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (70143344)
浜下 昌宏 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (60208577)
戸澤 義夫 群馬県立女子大学, 文学部, 教授 (50011383)
長野 順子 神戸大学, 文学部, 教授 (20172546)
西村 清和 埼玉大学, 教養学部, 教授 (50108114)
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Keywords | 正統と異端 / カトリシズム(普遍主義)と相対主義 / グローバリゼーリョンとローカリゼーション / 文明の衝突? / 多元主義的文化論と共存の論理 / エティカ・コスモポリティカ / インターナショナルとエスニック / 芸術の論理と倫理 |
Research Abstract |
本年度は、研究会における研究報告と、外国人研究者を招いてのレクチャーという形を中核に置き、それと並行して文化人類学などの文献資料の幅広い収集を行った。計三回開催した研究会では一本ずつの研究が披露された。主題を列挙すると、十九世紀アメリカにおけるアジア人の表象(広告・人種差別・ナショナリズムの観点から)、近代日本における洋学習得のメンタリティ、近代小説の西洋からの移植と挿絵の変遷である。研究会においては、昨年度の研究諸成果をふまえた質問が積極的に飛び交い、様々な事象がグローバリゼーション状況下においてもつ論理的な関連性や倫理的な意味合いが、より深く緻密に把握されるようになった。各研究報告とそれにともなう議論で明らかになりつつあるのは、グローバリゼーションの過程においては、他地域との関係のあり方についての問題意識から各地域の固有性の自覚がむしろ高まっていくこと、そして、世界化の媒体そのものの社会全体における位置づけが、時には急激に変転していくということである。 また、秋に開催したレクチャーでは、梨花女子大学教授の金治洙氏を招聘した。フランス文学者金教授による「グローバリゼーションの中の韓国文化」と題されたレクチャーは、急速に変貌しつつある美学や諸芸術学の状況を的確にとらえた上で、独自の視点からそこに展望と提言を示したものであり、日本の美学研究者たちにも強い問題意識を喚起し、研究の視野がさらに拡大された。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 戸澤 義夫: "サンプルとインスタンス-グッドマンの具体的例示概念を巡って"群馬県立女子大学紀要. 25. 83-105 (2004)
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[Publications] 小穴 晶子: "ブフォン論争、J.-J.ルソーの果たした役割を中心に"多摩美術大学研究紀要. 18(印刷中). (2004)
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[Publications] 青木 孝夫: "情報時代に於ける藝術文化の変容"情報化社会への招待. 241-251 (2003)
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[Publications] 稲賀 繁美: "詩の越境と変容"音楽教育学. 第33巻第2号. 9-21 (2003)
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[Publications] 稲賀 繁美: "美術館教育から視覚文化教育とその彼方へ"あいだ. 98. 32-38 (2004)
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[Publications] 佐藤 健二: "社会調査のイデオロギーとテクノロジー"年報社会科学基礎論研究. 2. 8-25 (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "芸術について歴史的に語ること-ドイツ・ロマン主義をめぐって"美学藝術学研究. 22(印刷中). (2004)
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[Publications] 小田部 胤久: "政治的汎神論の詩学-ノヴァーリス『信仰と愛あるいは王と王妃』をめぐって"美学. 216. 14-27 (2004)
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[Publications] Tanehisa OTABE: "'The Aesthetic' and 'the Scientific' or 'the Exoteric' and 'the Esoteric' : An Essay on the History of Modern Aesthetics"Selected Papers of the 15^<th> International Congress of Aesthetics. 287-297 (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "自然の暗号文字と芸術-自然哲学と芸術哲学の交叉をめぐるカント・シェリング・ノヴァーリス"シェリング論集. 4(印刷中). (2004)
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[Publications] 久万田 晋: "沖縄ポップと<しまうた>-融解する境界"Inter communication. 46. 102-107 (2003)
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[Publications] 馬場 朗: "近世前の二つのピュグマリオンにおける「技」と「愛」:ルソー作『ピュグマリオン』の前史についての一視座"群馬県立女子大学紀要. 25. 1-28 (2004)
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[Publications] 松田 聡: "1786年2月のシェーンブルン宮殿におけるモーツァルトとサリエリの「競演」再考-ウィーンの宮廷劇場における公演の体制との関わりにおいて-"美学. 214. 70-83 (2003)
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[Publications] 松田 聡: "1783年4月〜91年2月のウィーンのブルク劇場におけるイタリア・オペラの公演-レパートリーに関する統計的考察-"大分大学教育福祉科学部研究紀要. 第26巻第1号. 1-16 (2004)
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[Publications] 喜屋武 盛也: "『象徴諸形式の哲学』の第一プログラムとしての<身振り的表現>・<類比的表現>・<象徴的表現>-カッシーラー哲学における三段階図式の展開-"沖縄県立芸術大学紀要. 12. 19-36 (2004)
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[Publications] 尼ヶ崎 彬: "ダンス・クリティーク-舞踊の現在/舞踊の身体"勁草書房. 268 (2004)