2005 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション状況下における芸術の論理と倫理
Project/Area Number |
14201005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 一美 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60065480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 義夫 群馬県立女子大学, 文学部, 教授 (50011383)
浜下 昌宏 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (60208577)
尼ヶ崎 彬 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (70143344)
西村 清和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50108114)
長野 順子 神戸大学, 文学部, 教授 (20172546)
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Keywords | グローバリゼーション / ローカリゼーション / 芸術 / 論理 / 倫理 / 文明の衝突 / 正統と異端 |
Research Abstract |
最終年度となる本年度も、研究会形式でおこなわれる研究分担者の報告を中核に据えつつ、それと並行して文化人類学などの資料の幅広い収集にも取り組んだ。三回開催した研究会では、計五本の研究が披露された。その主題を列挙すると、モーツァルトの「異文化体験」(『後宮からの誘拐』における「オスミンの怒り」をめぐって)、18世紀フランスの音楽思想における世界市民主義と国家主義、行為の論理と場の論理(日本的美意識を規定する論理構造の解明)、風流と国民性(日本的美意識の神話・伝統的美的概念と生活文化をめぐって)、モーツァルト『魔笛』における異界とジェンダー(「夜の女王」の音楽的造型と視覚的変容を中心に)である。研究会においては、昨年度までの諸成果をふまえた質問が活発に飛び交い、考察対象として取り上げる人物や諸概念が持っている、これまではっきりとは見えていなかった新たな側面、および、グローバリゼーション状況下における様々な事象の論理的な関連性や倫理的な意味合いが、より深く緻密に理解される段階へと到達した。各々の研究報告と議論で明らかになったのは、グローバリゼーションの過程においては、第三世界などとの関係についての問題意識から各地域の固有性の自覚がむしろ高まっていくこと、世界化の媒体そのものの社会全体における位置づけが、ときには急激に変転していくということである。そして、その最終的な成果は、現在編集中の報告書に掲載される研究分担者の論文に着実に反映されている。
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Research Products
(8 results)