2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201006
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
松尾 大 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (00119364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 好明 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (00220939)
佐藤 道心 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30154074)
井村 彰 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (70223344)
平山 敬二 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (50189867)
熊倉 純子 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (50345352)
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Keywords | 芸術 / 公共性 / 公共圏 / パブリックアート / メセナ / 文化財 / 美学 |
Research Abstract |
芸術における公共性に関して、初年度は公共性概念に関する理論的アプローチと、芸術の諸領域における公共性の諸相の分析という二方向から研究を進めたが、二年目の今年度もこれと同じ方法を継続して、さらに深化させ、各研究分担者間で問題を共有すると同時に、そこで浮上した諸問題をそれぞれの専門領域にフィードバックしていく作業に集中することとした。すなわち、一方では美学・芸術学領域の内部における共通感覚論や美的教育論等の公共性に連結する議論(平山のシラー研究)や哲学・倫理学・社会学等の隣接する人文・社会科学領域における近代から今日に至る公共性論議(小川のハーバーマス研究)とを吟味しつつ、他方では現代の芸術実践が置かれている、ないしは置こうとしているその公共的な関与のあり方に突きあわせる(椎原のフランスにおける地域圏現代美術基金の研究)ことによって、包括的に問題を整理していくと同時に、各研究分担者による芸術文化諸領域における個別研究のいっそうの充実をはかった。そのために、研究分担者相互による研究会の開催のみならず、公共性というテーマそのものを芸術表現のうちに取り込んでいる美術作家の話を聞くなどの機会を持つこともできた(白井昌生氏講演会)。これらの取り組みから明らかになったことは、今日における公共性概念自体の危機ないし転換期的な状況というものが一方にあること(益田の身体性と公共性の研究、田尻のメディアと公共性の問題の研究)、そして自律性を前提とした近代芸術概念に対する反省のもとで芸術の諸機能に対する新たな関心というものが芸術文化のあらゆる局面に様々なかたちで芽生えつつあるという認識(渡辺の取手アートプロジェクトの実践、熊倉の地域文化と芸術普及の連携活動、佐藤の美術と国家アイデンティティに関する研究など)である。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 松尾 大: "フィギュールの翻訳を規定する要因"東京藝術大学美術学部紀要. 39. 5-23 (2003)
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[Publications] 平山 敬二: "Die Idee des asthetischen Staates bei Friedrich Schiller und Joseph Beuys"Komparatistik (Jahrbuch der Deutsohen Gesellschaft fur Allgemeine und Vergleichende Literaturwissenschaft). 2002/2003. 33-42 (2003)
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[Publications] 平山 敬二: "Die Gegenwartige Bedeutung der Schillers Asthetik"The Great Book of Aesthetics (第15回国際美学会議CD-ROM版報告書). (2003)
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[Publications] 椎原 伸博: "現代美術における戦略と戦術 村上隆とトーマス・ヒルシュホルンをめぐって"実践女子大学文学部紀要. 45. 39-54 (2003)
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[Publications] 椎原 伸博: "フランスの文化政策の一側面 -FRAC(地域圏現代美術基金)をめぐって"実践女子大学文学部紀要. 46. (2004)
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[Publications] 益田 勇一: "19世紀の生理学とニーチェの美学"埼玉純真女子短期大学研究紀要. 第20号. (2004)
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[Publications] 佐藤 道信: "日本・西洋・東洋 --美とアイデンティティ-"文学(精華大学文学文明研究所、ミネルヴァ書房). 1. 1-25 (2003)
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[Publications] 佐藤 道信: ""孤立した「日本文明」"と留学"美術フォーラム21. 9. 96-100 (2004)
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[Publications] SATO Doshin: "The Present State of Research on Modern Art History and related Issues"ACTA AISATICA (The Toho Gakkai). 85. 82-103 (2003)
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[Publications] 佐藤 道信: "宇宙観の歴史-宇宙・人間・神の認識論"共同研究報告書 微小重力環境における芸術表現の未来(東京大学NASDA). 81-92 (2003)
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[Publications] 佐藤 道信: "明治の彫刻 -職人から「美術家」の「彫刻」へ"特別展観「仏を観る」展カタログ(東京芸術大学文化財保存学). 61-65 (2003)
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[Publications] 佐藤 道信: "主題の選択II 観音"暁斎(河鍋暁斎記念美術館). 79. 8-14 (2003)
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[Publications] 小松 弘: "ドライヤーにおけるリアリズムの発生「不運な人々/互いに愛せよ」論"早稲田大学大学院文学研究科紀要. 第48輯・第三分冊. 77-93 (2003)
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[Publications] 小松 弘: "旧劇革新の歴史的意義"演劇研究センター紀要(早稲田大学演劇博物館). I. 163-173 (2003)
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[Publications] 渡辺 好明: "先端芸術宣言!(第4章 センサーとシステム「日常への眼差し-取手アートプロジェクトの実践」)"岩波書店. 225 (2003)