2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の認知・情動的クオリアの発達に関する神経心理学的研究
Project/Area Number |
14201012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
利島 保 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20033566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松橋 有子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10119018)
松田 文子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50118048)
小林 正夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00162016)
橋本 優花里 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (70346469)
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Keywords | 乳幼児 / 認知・情動的クオリア / 発達神経心理学 / 近赤外分光脳機能イメージング / 顔面サーモグラフ / 視覚的対象認知処理 / 母子相互作用 |
Research Abstract |
橋本・利島・小林・近藤(2003)では、1歳以下の乳児を母親もしくは見知らぬ他者があやしているとき、乳児の顔面温度(ストレスの指標)はあやされる相手が母親か他者かに関わらず低下することが示された。この測定と同時に近赤外分光法(NIRS)によって脳血行動態反応を測定した利島・橋本・小林・近藤(2003)では、相手にかかわらず左半球の活性化が高まっていること、右頭頂一側頭領域で他者に対して母親より活性化が高いことが観察された。脳血流レベルでは母親を乳児が区別していることを観察可能である。 橋本・近藤武夫・利島保(2003)および近藤・橋本優花里・利島保(2003)では、乳幼児を対象としたNlRS研究の概観を行った。NlRSを使用することで、これまでほとんど得られていない乳幼児の脳活動データが得られる。しかし、データの分析方法や解釈に研究間で合意は得られておらず、その原因として未だ発表された研究数自体が少なく、基礎データが出揃っていないことを指摘した。母子相互作用の理解のためには、乳児の脳内で行われるマルチモーダルな処理過程をNIRSによる画像化を通じて知る必要がある。そのため各モダリティの脳内処理を測定したNlRS基礎データを得ておく必要がある。 その一環として、健常成人を対象とした視覚的対象認知処理中の脳活動をNIRSにより測定した(Kondou,2003;近藤・利島,2003)。その結果、対象(新奇三次元物体)の観察方向が、観察自身が最も好ましいと感じる方向からずれていくに従って、後頭-頭頂領域および左右紡錘状回の活性化が高まる、すなわち形状の差異を分析する処理に負荷がかかることがわかった。またこの結果には個人差があり、正答率が低い被験者では、活性化は角度のずれに従って高まっていなかった。このデータは乳児が母親の顔や愛着を持った玩具を観察するという現在計画中の実験に応用する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Iwaki, N., Miyatani, M., Toshima, T.A: "A psychophysiologycal study on the function of the response-stop in the Eriksen task"Jaoanese Psychological Research. 45・2. 100-108 (2003)
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[Publications] Kondou.T., Toshima, T.: "Indivisual differences of spatial span and view-dependence in three-dimentional object recognition"The Japanese Journal of Psychonomic Science. 22・1. 43-44 (2003)
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[Publications] 橋本優花里, 近藤武夫, 利島保: "乳幼児におけるイメージング建久の効用と限界(1)"広島大学大学院教育学研究科紀要第三部. 52(印刷中). (2004)
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[Publications] 近藤武夫, 橋本優花里, 利島保: "乳幼児におけるイメージング建久の効用と限界(2)"広島大学大学院教育学研究科紀要第一部. 52(印刷中). (2004)
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[Publications] 平賀健太郎, 坂野尭, 吉光千記, 和合正邦, 小林正夫: "慢性腎疾患患児のストレッサーとストレス反応の関連性"日本小児腎臓病学会雑誌. 16・1. 88-94 (2003)
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[Publications] Kobyahshi M, Satoh T, Kawaguchi H.Nakamura, K.Kihara, H.Hiraga: "Efficacy of prophylactic use of Trimethoprim-Sulfametoxazole in autoimmune neutropenia in infancy"Journal of Pediatric Hematology & Oncology. 25・4. 553-557 (2003)
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[Publications] 松田文子(編著): "時間を作る,時間を生きる-心理学的時間入門"北大路書房. 3000 (2004)