2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 みどり 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80333582)
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50301859)
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Keywords | 信頼 / 協力 / 国際比較 / 囚人のジレンマ / 信頼ゲーム / 共感 / 社会的知能 / 評判 |
Research Abstract |
本研究は、日本社会の「安心社会から信頼社会」への転換を可能とするための、心理・社会的基盤を明らかにすることを最終的な目的としている。平成14年度にはオーストラリアのラトローブ大学との間の共同研究により、集団成員への信頼が必ずしも自集団に対する好意的なステレオタイプにもとづいて形成されるわけではなく、集団内部での一般交換についての信念である集団協力ヒューリスティックにもとづいて形成されていることを明らかにした。またスタンフォード大学との共同研究を含む、信頼関係形成過程を研究するための一連の実験研究を開始し、15年度までに、信頼関係形成に際してリスクテイキングが重要な役割を果たしていることをあきらかにした。また、インターネット上に設定した実験用のオークションサイトを用いた取引実験を行い、集団主義的社会においては「追い出し」原理に基づくネガティブ評判の効果が社会秩序維持に重要な役割を果たすのに対して、より開かれた社会においては「誘い込み」原理にもとづくポジティブ評判が重要な役割を果たすことを明らかにした。15年度以降には、社会制度としての集団主義制度と個人主義制度を小集団内部に作り出し、これまで東アジア的とみなされてきた信念や認知様式と、西欧的とみなされてきた信念や認知様式が、これらの異なる社会制度を経験することで作動したり抑制されたりすることを確認するための一連の実験研究が開始され、現在も継続中である。また、社会的交換関係にある他者の信頼性を判断する一連の実験研究も15年以降実施され、他者から魅力的であると判断される男性はそうでない男性よりも、短期的な交換関係において自己利益を追求する傾向が強いこと、また、短期的交換関係において自己利益を追求する傾向が強い人々は、他者との間に協力関係を形成しようとする傾向が強い人々とくらべ、他者から記憶されやすい傾向にあることも明らかにされた。
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Research Products
(9 results)