2005 Fiscal Year Annual Research Report
介護体験の構造:在宅介護支援効果の最大化に関わる要因の探求
Project/Area Number |
14201025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Foundation for Research on Aging and Promotion of Human Welfare |
Principal Investigator |
高橋 龍太郎 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 参事研究員 (20150881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 恭一 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20009898)
須田 木綿子 東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)
深谷 太郎 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究助手 (80312289)
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Keywords | 国際研究者交流 / 介護保険 / 社会福祉学 / 質的研究 / 介護負担 / 家族関係 / 介護支援専門員 |
Research Abstract |
東京都葛飾区、秋田県大館市・旧田代町に居住する要介護高齢者とその家族を対象とした第2回目の調査員による調査と研究メンバーによる質的調査を実施した。2年を経た追跡の結果、葛飾の対象者の18%、大館の19.2%が死亡、それぞれ5.5%、11%が入所・長期入院していた。両地域の死亡率に差はみられなかったが、男性のほうが女性よりも死亡率が高く、女性ではより高齢者で死亡が多くみられた。更に、要介護度の高いこと、既婚子との同居、主介護者が配偶者か子供の配偶者、で死亡が有意に高率であった。大館地域では第1回調査時点で要介護4、5高齢者の施設入所率が高かったけれども、追跡過程においても葛飾よりも有意に入所・入院の頻度が高率であった。地域差のほか、より高齢であること、要介護度の高いこと、既婚子ないし未婚子との同居、嫁ないし息子が主介護者、で入所・入院が有意に高率であった。介護者属性が、葛飾においては嫁、大館においては息子の場合、在宅生活の限界をきたした例が多くみられた。全体の53%で要介護度の変化はなく、32%が悪化、15%が改善していた。特に、要介護2、3のものの双方向への変化が顕著であった。在宅継続群と比較して、要介護高齢者死亡の介護者の主観的健康感、主観的幸福感(モラール)は改善していた。一方、要介護高齢者入所・入院の介護者の蓄積疲労徴候は軽減していたが、主観的幸福感は有意に低下していた。高齢者と介護者の介護関係を検討した質的研究から、在宅生活継続に寄与しうる安定な家(イエ)意識の背景を探った。今なお嫁ぎ先の老親介護を「覚悟」というかたちで開始する伝統的な規範意識が残存するけれども、扶養や介護という家族の課題を強迫的に一人で取り込まずに緩やかな「圧力」として受け取り、その「圧力」を高齢者とともに感受するような関係性が複数観察され、今後、このような介護関係の変遷を観察していく予定である。
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Research Products
(8 results)