2005 Fiscal Year Annual Research Report
民主社会実現手段としてのインクルーシブ教育の社会的背景と理論的基盤に関する研究
Project/Area Number |
14201026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 満紀男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二文字 理明 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030461)
窪田 眞二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80170033)
鳥山 由子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (00302365)
岡 典子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20315021)
米田 宏樹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50292462)
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Keywords | インクルーシブ教育 / インクルージョン / 排除 / 民主制 / 社会への完全参加 / 障害 / 特別な教育的ニーズ |
Research Abstract |
インクルーシブ教育(インクルージョン)は、先進国・途上国を問わず、国際機関や各国の中央政府が支持している現代における世界的な教育改革運動であるが、その真の意味は必ずしも正確に把握されていない。同時に、インクルーシブ教育運動が世界的に拡大してきた背景とそれを支えている理論についても、共通的基盤と多元的部分に整理して解明されていない。この複雑さが整理されないまま、インクルーシブ教育が差異ではなく、障害のみに焦点化して捉えられる場合、日本における特別支援教育に例示されるようにインクルーシブ教育のモザイク的理解に陥ることになる。これでは、特別な教育的ニーズという枠組みは、障害カテゴリーの細分化された言い換えと大差なくなり、フル・インクルージョニストが指摘する個別的ニーズに基づく特殊教育の枠組みと同じ次元となって、彼らの批判を超えることができない。 こうして、インクルーシブ教育とは、社会的・経済的・教育的格差、文化的・宗教的差異、エスニシティの相違によって生じる社会からの排除を解消し、社会への完全な参加を促進し、民主制社会を充実・実現するために、通学者が生活する近隣コミュニティに立地する通常の学校において共通の教育課程に基づき、すべての青少年を同年齢集団において教育することである。またインクルーシブ教育は、これらの目的を達成するための方法開発も併せて追求している点にも特徴がある。 このように、教育改革運動としてのインクルーシブ教育は、差異やそれに基づく排除を解消するための、政治・経済・宗教・文化等、広範囲に及ぶ社会改革運動であり、画期的な理念を提起していて、成果もみられるが、既成の枠組みを打破するまでに至っていない。同時に、普遍化が画一化に陥っていて、排除を生んでいる例など、今後の課題も多い。
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Research Products
(6 results)