2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201046
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
花谷 浩 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 伸彦 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (90205302)
小林 謙一 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・埋蔵文化財センター, 文化財情報研究室長 (70110088)
黒崎 直 富山大学, 人文学部, 教授 (60000494)
豊島 直博 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・平城宮跡発掘調査部, 研究員 (90304287)
清野 孝之 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・平城宮跡発掘調査部, 研究員 (00290932)
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Keywords | 三燕 / 金銅製品 / 馬具 / 帯金具 / 鉄地金銅張 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
日本列島の古墳から出土した馬具・帯金具等には、遼西地域の三燕時代(4世紀中頃〜5世紀中頃)の墳墓から出土した金銅製品と共通するものが認められる。それらは、タガネ彫文様や透彫文様を伴う華麗な製品であるが、国産化が始まったと考えられる5世紀中頃を中心とする古噴出土例では、鍍金-タガネ彫-透彫、という製作工程が確認されている。中国出土例について、遼寧省文物考古研究所の協力を得て、蛍光X線分析をおこなった結果、金銅製の馬具・帯金具は、銅もしくは錫分の少ない青銅に鍍金を施したものであることが判明した。これは、素材となる金属の成形さらにはタガネ彫や透彫を施すことと関係しているのであり、古墳時代における金銅製品の製作技術が、これらと同一の系譜関係にあるとする推定の妥当性を裏付けるものである。 一方、遼西地域の墳墓から出土した金製品については、標準資料を用いて金・銀・銅の含有率の推定を試みた。歩揺・耳飾・腕輪等の金製装身具類は、概ね金の含有率が75〜85%と推定され、一定の強度を保つために銀を加えている可能性が考えられるにいたった。また、表裏二枚の金薄板からなる金製装身具で確認された、表面の板を裏面より一回り大きく成形し、裏面の板端を包み込むようにしてかしめ、さらに鋲で留めるという技術は、素材こそ異なるが、鉄地金銅張技法との関連をうかがわせるものである。 このように、古墳時代の渡来系遺物については、少なくともその一部は、中国東北地方を源流とする可能性が高まってきたといえよう。と同時に、モノ(製品)だけでなく、ヒト(技術)も渡来した状況がうかがえることから、渡来の経路に関しては、今後、韓半島を視野にいれて進めていかなければならないであろう。
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Research Products
(1 results)