2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201046
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
花谷 浩 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 遺構調査室長 (70172947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 直 富山大学, 人文学部, 教授 (60000494)
小林 謙一 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・埋蔵文化財センター, 文化財情報研究室長 (70110088)
小池 伸彦 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (90205302)
金田 明大 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 研究員 (20290934)
豊島 直博 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・平城宮跡発掘調査部, 研究員 (90304287)
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Keywords | 三燕 / 馬具 / 鞍金具 / 金薄板 / 挂甲 / 帯金具 |
Research Abstract |
中国で出土した資料に関しては、昨年度に引き続き、遼寧省文物考古研究所の協力を得て、遼寧省内の墓葬から出土した三燕時代の遺物について、実測、写真撮影、理化学的分析等の調査を行った。なかでも、墓誌や印章から時期を特定できる資料を調査することができた結果、遺物の年代観をより明確に認識しうるようになったことは、大きな成果といえるであろう。 帯金具と馬具の鞍金具においては、金銅製のそれらと同様の透彫、タガネ彫の文様をともなった鉄地金張製を確認した。今回の調査で、鉄板と金薄板の接着方法は明らかにしえなかったが、金薄板を用いる技法が確認されたことは、日本列島の古墳から出土する金銅製品に認められる、金薄板を用いる技法の源流を検討する上での手懸りとなるものである。さらに、鞍金具では、ほぼ完全な鞍橋の木部を伴う例において、左右2枚で構成し、中央部を厚み方向に斜めに削いで接ぎ合わせ1枚の鞍橋とする韓半島や日本列島の出土例にもみられる作り方が確認されたことも、鞍木部の構造と製作手法にとどまらず、技術の系譜関係を考えるうえで、きわめて重要である。 また、武装に関して、日本列島で出土する挂甲は、ごく一部の例を除き、上半身から腰までを防禦するものを基本とするが、中国の出土例では、上半身と下半身の防禦具をそれぞれ別に作るのが一般的である。5世紀の日本列島に出現する騎兵装備については、中国東北地方が源流のひとつと考えられる一方で、中国や韓半島の出土例と同一視できない要素が認められるのである。今後は、地理的にも文化的にも両者の間に介在する韓半島の状況も含めて検討を加えていかなければならないであろう。
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Research Products
(3 results)