2004 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバーによる多天体・面分光型スペクトログラフの開発と銀河形成史の研究
Project/Area Number |
14204016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舞原 俊憲 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 耕司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50221825)
菅井 肇 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50291422)
岩室 史英 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80281088)
|
Keywords | 赤外線分光器 / ファイバー分光器 / 回折格子 / 高赤方偏移 / 系外銀河 / 多天体分光 / 赤外線アレイ検出器 |
Research Abstract |
波長1.8ミクロンまでの近赤外線域におけるスペクトルの系統的な観測に基づいて比較的高赤方偏移領域の銀河形成を研究することを目的として、平成16年度からの3年間に亘って、光ファイバーを利用して多天体分光のモードと面分光のモードを兼ね備える新しいタイプの観測装置を開発してきた。本研究では、すばる望遠鏡の主焦点観測装置のファイバー多天体分光器システム(FMOSと略称)の機能に面分光のモード(IFU機能)を新たに開発して装着し、高赤方偏移に存在する個々の銀河やクェーサーなどの空間的な詳細構造を得ることを可能にした。それにより多重的に得られる輝線スペクトルの解析に基づいて観測的研究を進めることが出来る。本開発的研究では、これまでにない大型で複雑なファイバー分光器システムの所定の性能を達成するため、新たに独創的な分光光学素子の開発と分光器光学系全体の冷却システムを開発、さらに250本の光ファイバーからなる面分光用のバンドルの開発にも成功した。また、分光器システムで得られるスペクトル画像の取得のための大型赤外線アレイ検出器の駆動とその画像データ取得装置の開発も完成して、十分に低雑音のスペクトル像を得られることが確認されている。以上のような開発的研究と平行して、現在のOH夜光除去タイプの近赤外線分光器を用いたクェーサーや電波銀河の分光観測も行い、輝線スペクトルの観測に基づいた高赤方偏移での化学的進化の過程や電波銀河からクェーサーへの進化に対する手がかりを得るなどの成果も得られた。また、高赤方偏移領域においても発達したディスク形状を有する銀河が存在することを、すばる望遠鏡を用いた観測で始めて明らかにするという赤外線の測光観測による成果も得られた。今後は平成17年度以降、開発を終えたファイバー分光器システムをすばる望遠鏡に装着して試験観測から本観測へと進める。
|
Research Products
(8 results)