2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジェットとクォーコニウムをプローブとした高温・高密度状態の研究
Project/Area Number |
14204021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱垣 秀樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90114610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 恭一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20323496)
三明 康郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (10157422)
杉立 徹 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (80144806)
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Keywords | クォーク・グルーオン・プラズマ / QCD / 高エネルギー重イオン衝突 / RHIC / LHC / 閉じ込めからの開放 / 初期宇宙 / カイラル対象性 |
Research Abstract |
今年は、本研究の最終年度にあたっている。そのため、計画研究の成果の総まとめをおこなうとともに、今後に残された課題を整理し、研究の方向性を定めることを目標に研究を遂行した。 RHIC-PHENIX実験に於いて、ジェットとクォーコニウムの二つをプローブとする原子核衝突初期の高温・高密度状態を探る実験研究を遂行し成果をまとめつつある。ジェットについては、衝突中心度依存性、衝突エネルギー依存性に対する系統的なデータが得られ、高温度物質中でのエネルギー損失機構についての解明が進みつつあるが、定量的な理解は今後の課題である。クォーコニウムについては、金+金衝突と銅+銅衝突について、統計的には未だ不十分ながらもJ/ψ収量の衝突中心度依存性を得た。解析結果の解釈、より統計精度の高いデータの取得は今後の課題である。 本研究のもうひとつの柱は欧州CERN研究所LHC加速器での物理に向けての検出器の開発及びその評価であるが、電子識別及び高運動量荷電粒子の選択的トリガーを可能とする装置としてTRD(トランジション・ラディエーション・ディテクター)のプロトタイプを完成し、性能評価を進めているが、概ね良好なテスト結果を得ており、検出器の方向性はほぼ確立した。実機製作の資金の獲得、組織の整備は今後の大きな課題である。 また、次世代の電子増幅器として期待されるGEM検出器を用いた新方式の電子識別装置の可能性を探るべく、基礎的な開発を進めた。実用化に向けて、GEMの品質管理、検出器の安定動作等、今後の課題は多い。 以上の研究成果は報告書としてまとめ公表する。
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Research Products
(15 results)