2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14204025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 泰樹 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80028240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 隆久 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20112071)
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (10222035)
高久 圭二 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (30263338)
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (10114852)
大崎 敏郎 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (80262327)
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Keywords | 宇宙年齢 / rプロセス / sプロセス / 恒星内元素合成 / 中性子捕獲反応 / 弾性散乱 / 非弾性散乱 |
Research Abstract |
半減期が423億年の長寿命でrプロセスのみで合成される^<187>Reとその娘核^<187>Osとの存在比^<187>Re/^<187>Osから宇宙年齢を推定する研究はこれら原子核の化学的性質が類似している事もあり特異な宇宙核時計とみなされている。しかしこの宇宙核時計が意味をもつためには^<187>Osがsプロセスでも合成されるため^<187>Reのみの崩壊による^<187>Osの量の精度よい評価をする必要がある。ところでその量はσ_γ(A)×N(A)=一定=σ_γ(^<186>Os)×N(^<186>Os)=σ_γ(^<187>Os)×N(^<187>Os)の関係から評価する事ができる。{σ_γ(A)及びN(A)は夫々質量Aの核の中性子捕獲反応断面積及び存在量}。そのためσ_γ(^<186>Os)及びσ_γ(^<187>Os)の高精度の測定が不可欠であるが、問題はσ_γ(^<187>Os)である。即ち、s-過程が進行する恒星内温度(約30keV)では^<187>Osはその第一励起状態(10keV)に輻射で励起されている。そのためこの励起状態を通して中性子捕獲反応が進行し^<187>Osは減少する。そのためこの励起状態からのσ_γ(^<187>Os)の値を知る事が極めて重要である。我々は、σ_γ(^<186>Os)、^<187>Osの基底状態に加え励起状態(3/2^-)のσ_γ(^<187>Os)を知るためこの状態と類似の構造を持つ変形核^<189>Os{基底状態(3/2^-)}の中性子捕獲反応断面積σ_γ(^<189>Os)も併せ測定その解析を行った。その結果従来に無い高精度で断面積を決定できた。得られた値は過去の値と10-20%異なる。更に^<187>Os及び^<189>Osの基底状態及び第一・第二励起状態の中性子に対する応答を調べる事が必要である。そのためにはこれら原子核の弾性散乱及び非弾性散乱断面積の測定を行う必要がある。この測定は多量の中性子バックグランド下での実験になるためバックグランドの原因をシミュレーション及びテスト実験を通し詳細に調べた。その結果Liガラス検出器4台を用いた測定システムの構築に成功し本測定の目処を立てた。
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