2002 Fiscal Year Annual Research Report
極低温走査トンネル分光法とミュオンスピン回転法による異方的超伝導体渦糸状態の研究
Project/Area Number |
14204035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 信彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50126140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
髭本 亘 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (90291103)
金子 真一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40301171)
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Keywords | 走査トンネル分光 / ミュオンスピン回転法 / 異方的超伝導体 / YNi_2B_2C / 渦糸格子バンド / 超伝導準粒子状態密度 / CeCoIn_5 |
Research Abstract |
我々は、0.45Kの極低温、12Tの高磁場において原子長空間分解能、10μeVの高エネルギー分解能ではたらく極低温・高磁場走査トンネル分光顕微鏡(LT・HM-STS/STM)を開発し、超伝導体特に超伝導渦糸状態の研究を行ってきた。本年度は、新たに超伝導磁石(4.2Kで15T、2Kで17T)を購入し、17Tの高磁場でSTS/STM測定を可能にした。走査トンネル分光の空間およびエネルギー分解能をさらに上げるために、防振および防音対策を行なった。その結果、クーパー対軌道対称性が問題となってきた超伝導体YNi_2B_2Cに関して、以下の成果をあげることができた。(1)YNi_2B_2C渦糸芯の準粒子状態の観測に成功。この形状からYNi_2B_2Cが異方的s波超伝導であることが明確になった。また、渦糸芯の準粒子束縛状態が観測された。これは15年程前に2H-NbSe_2において観測されて以来のことである。(2)準粒子の渦糸格子バンド状態の実空間測定に成功。現在理論的な解析を行っている。(3)0.45KにおいてYNi_2B_2C渦糸の運動を可視化すうことができた。1K以下の渦糸の運動を実空間観測成功は初めてのことである。今後、高温超伝導体等にこの方法を適用し、渦糸のピニング等を含めた研究を進めてゆく予定である。 また、STS測定の更なる安定化をめざして、STM探針粗動機構を慣性駆動方式にした新しいSTS装置の試作を行った。来年度^3He-^4He希釈冷却器と組み合わせる予定である。また、ミュオンスピン回転法を用いて、YNi_2B_2Cの渦糸状態の研究、及び、新しい超伝導体CeCoIn_5、Cd_2ReO_7、MgB_2の磁束侵入長を測定し、磁場による準粒子励起を調べた。来年度は、本年度の成果をふまえ、Uを含む重い電子系超伝導体をSTS法、ミュオンスピン回転法の二つの方法を有機的に組み合わせ研究する予定。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Matsuba, H.Sakata, T.Mochiku, K.Hirata, N.Nishida: "Influence of disorder on superconductivity in Bi_2Sr_2CaCu_2O_x studied by low temperature scanning tunneling spectroscopy"Physica C. (in press). (2003)
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[Publications] W.Higemoto, A.Koda, R.Kadono, et al.: "μSR studies on heavy fermion superconductor CeIrIn_5 and CeCoIn_5"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 1023-1026 (2002)
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[Publications] R.Kadono, W.Higemoto, A.Koda, et al.: "Quasiparticle excitation in the Superconducting pyrochlore Cd_2Re_2O_7 probed by muon spin rotation"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 709-712 (2002)