2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低温走査トンネル分光法とミュオンスピン回転法による異方的超伝導体渦糸状態の研究
Project/Area Number |
14204035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 信彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50126140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 真一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40301171)
髭本 亘 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 副主任 (90291103)
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Keywords | 走査トンネル分光 / 異方的超伝導体 / 渦糸状態 / YNi_2B_2C / Bi_2Sr_2CaCu_2O_x / 実空間測定 / 量子領域渦糸 / 超伝導準粒子状態密度 |
Research Abstract |
極低温走・高磁場走査トンネル分光顕微鏡(LT/HM-STM/STS)を開発し、異方的超伝導体、特に、超伝導渦糸状態の研究を行ってきた。STM装置開発と超伝導研究の成果は以下のとおりである。 (1)極低温・高磁場STM/STS開発:4.2K、15Tの高磁場中ではたらくLT/HM-STM/STS開発に成功し、高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_x渦糸状態実空間測定に成功した。15Tの高磁場ではたらくSTM/STS装置は世界で初めてのものである。また、^3He-^4He希釈冷却機と組み合わせ、12T、0.16Kでの走査トンネル分光が可能になっている。後者のLT/HM-STS/STMは、1.5Kステージ冷却方式の改良により、S/N比が飛躍的に改良可能であることが判明。これは今後の課題である。 (2)異方的超伝導体の走査トンネル分光、渦糸状態の実時間実空間測定:異方性が大きいと考えられていたYNi_2B_2Cの渦糸芯準粒子局所状態密度を0.46Kの極低温で観測し、渦糸芯が、4回対称星型であり、束縛状態エネルギーの離散性が重要となる量子領域にあることを見つけた。世界で初めての観測であり、第2種超伝導体渦糸状態の微視的描像確立のための突破口となる実験であると考えている。また、1Tの高磁場下、6Kから0.45Kの温度範囲にわたり、渦糸の動きの実時間測定に成功した。1K以下の渦糸の実空間・実時間測定は始めてのことである。また、高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_xの渦糸の運動を6T磁場下で実時間測定することに始めて成功した。高磁場下で渦糸の運動を直接観測する方法は、STS/STMだけが可能なので、今後、ピニング中心の微視的構造測定、渦糸動的挙動研究の新領域を開いたと考えている。MSR法によりの重い電子系PrOs_4Sb_<12>超伝導状態が時間反転対称を破った状態であることを見つけた、本年度、LT-STS/STM法でPrOs_4Sb_<12>の走査トンネル分光測定および渦糸格子の測定を行った。
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Research Products
(1 results)