2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国三峡ダムの建設が東シナ海および日本海の海洋環境に及ぼす影響の評価に関する研究
Project/Area Number |
14204045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯辺 篤彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
尹 宗煥 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80111459)
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
市川 洋 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (60128410)
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Keywords | 長江 / 山峡ダム / 低塩分水 / 漂流ブイ / 定期フェリー / 成層構造 / 深層循環 / 環境変化 |
Research Abstract |
1.水温・塩分センサー付きオーブコム漂流ブイによる低塩分水のラグランジュ的観測 9月に五島の南西部に4台のブイを投入し、水塊の追跡を行った。ブイは投入後強い北東風の影響で西に流れ、予想したように対馬海峡には向かわなかった。水温・塩分の記録から、ステップ状に低温・低塩の水塊の方に移動していることがわかった。これはある水塊内でフロント付近に移動したブイが、フロント近くの小スケールの渦、あるいは吹送流によって別の水塊に運ばれたものと推測される。 2.対馬海峡における水温・塩分のモニタリング 対馬海峡を横断するフェリー「かめりあ」に取水配管からのバイパスを設置し、11月13日に水温・塩分計を取り付けた。塩分については月に1回程度、停泊中に採水してキャリブレーションを行い、表層塩分のモニタリングシステムを確立した。今後は、継続して実施しているADCPによる流速分布測定とあわせて、対馬海峡を通過する淡水量を推定するための解析を行う。 3.東シナ海大陸棚上における水塊分布と循環構造 白鳳丸のKH02-3航海(9/25-10-10)によって東シナ海陸棚上で観測を行った。陸棚水の起源に関する情報を得るため、約20点の10m層と底層付近で採水してホウ素の測定、酸素・水素の安定同位体比の測定を行った。その結果、済州島南西部の表層では大陸棚中央部の陸棚系の水に近いのに対して、同じ場所の底層では黒潮域の水に近い性質を持っていることが明らかになった。しかしこれは、塩分との相関が非常によいことから、低塩分水の起源について明らかにするにはさらに検討が必要である。 4.日本海における海洋循環と成層構造の形成過程 日本海深層の循環過程を明らかにするため、日本海南部の数点で係留観測を継続して実施した。また、成層構造の変化、およびその形成過程を明らかにするため、CTD観測と、乱流の強さを計測するための微細構造の測定を行った。
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[Publications] Isobe, A., M.Ando, T.Watanabe, T.Senjyu, S.Sugihara, A.Manda: "Freshwater and Temperature transports the Tsushima-Korea Straits"Journal of Geophysical Research-Oceans. 107(C7). 2-1-2-20 (2002)
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[Publications] Senjyu, T., T.Aramaki, S.Otosaka, O.Togawa, M.Danchenkov, 他: "Renewal of the bottom water after the winter 2000-2001 may spin-up the thermohaline circulation in the Japan Sea"Geophysical Research Letter. 29(7). 53-1-53-4 (2002)
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[Publications] Takikawa, T., J.H.Yoon, K.-D.Cho: "Tidal current in the Tsushima Straits estimated ADCP data by Ferryboat"Journal of Oceanography. 39(1). 37-47 (2003)
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[Publications] Valle-Levinson, A., T.Matsuno: "Tidal and subtidal flow along a cross-shelf transect on the East China Sea"Journal of Oceanography. (印刷中). (2003)
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[Publications] Shimizu, M., T.Matsuno, H-J.Lee, H-I.Park: "Tracking of Drifters with T/S sensors around the Cheju Island, in September 2002"Proc. of 12th PAMS/JECSS. (印刷中). (2003)
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[Publications] Chang, P.H, A.Isobe: "A numerical study on the behavior of the Changjiang Dilluted water in the Yellow and East China Seas"Proc. of 12th PAMS/JECSS. (印刷中). (2003)