2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国三峡ダムの建設が東シナ海および日本海の海洋環境に及ぼす影響の評価に関する研究
Project/Area Number |
14204045
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯辺 篤彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
千手 智晴 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (60335982)
広瀬 直樹 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (70335983)
市川 洋 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (60128410)
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
|
Keywords | 長江希釈水 / 衛星追跡ドリフター / 栄養塩の起源 / 対馬海峡 / 低塩分水 / 日本海の基礎生産 / 定期フェリー / モニタリング |
Research Abstract |
水温・塩分センサー付き衛星追跡ドリフターを3台、7月14日から15日にかけて済州島南西部の海域に投入した。ドリフターの投入は韓国海洋研究所との共同研究として、同研究所の調査船EARDOによって実施された。ドリフターは投入直後数日間は南寄りの風の影響で東に流れたが、その後漂流する方向は、それぞれのドリフターが位置した水塊によって大きく異なった。このことは、同時期に得られた水色の衛星データからも水塊が複雑な形状をしていること、すなわち場所によって異なった方向の流れを示唆するようなフィラメント状の構造が見られることからも推測された。 対馬海峡における定期フェリー「かめりあ」による水温・塩分のモニタリングでは、「かめりあ」が新船になったため、センサーも新しくし、夏以降の表層水温・塩分のモニタリングを継続した。同時に対馬海峡における水産関係機関による定期観測のデータを用いて、同海域における塩分変動と長江流量の関係を調べ、長江の流量が増加する年には対馬東水道で塩分が低くなる傾向にあることが確認された。 日本海の生態モデルによる研究により、日本海における植物プランクトンの生産に対馬海峡から流入する栄養塩が大きな役割を果たしている可能性が示された。 本年度は本研究の最終年度であり、そのとりまとめの一環として11月に開催された国際研究集会PEACE(東アジア海洋科学国際共同研究プログラム)において長江希釈水の挙動に関するセッションを設け、本研究の分担者、研究協力者を含む日本、中国、韓国の研究者の間で、研究成果の発表と活発な議論があった。 昨年度及び本年度のドリフターによる観測、また鉛直拡散に関する観測から、長江希釈水の広がりに関わる水平発散が下層からの湧昇流を作り、それが下層の栄養塩を表層に供給している可能性が示唆された。また、東中国海の栄養塩は対馬海峡を通じて日本海に供給され生物生産に寄与している可能性が示された。
|
Research Products
(12 results)