2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14204051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 雄行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00126038)
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Keywords | その場X線回折 / 高温高圧 / 分子シミュレーション / 粘土鉱物 / スメクタイト / 膨潤挙動 / ゼオライト / 分子動力学法 |
Research Abstract |
H14年度において製作した、200℃程度、飽和蒸気圧(200℃で気55MPa=15.5圧)までの温度圧力条件下での、鉱物固体-気体(主として水蒸気)平衡系および反応過程における鉱物固体のX線回折実験システムの試験を開始した。本年度は、既存のX線回折系(集中法光学系)に加えて、平行ビーム光学系によるX線回折装置を導入し、昨年度作成したシステムと一体化した。これにより、より精度の高い測定と、定量的な解析が可能となった。さらに、400℃、200気圧でのその場X線回折測定用の試料容器の設計を開始した。 実験測定:Naに加え、Ca型およびMg型のスメクタイトおよびゼオライトについて200℃までで、水蒸気圧15.5気圧までの構造変化を温度と水蒸気圧を変化させて系統的に測定した。これによりこれらの鉱物の飽和水和までの水和挙動とそれに伴う構造変化が広い温度範囲で明らかとなった。試料は天然物を精製したものと合成物を用いた。 分子シミュレーション手法の開発発展:H14年度は表面を持つ鉱物粒子と流体相からなる多相系の初期構造を作成する手続きを整備したので、さらにこれを大規模複雑系対応させた。また、分子動力学計算プログラムを5万原子以上の大規模計算に対応させるべくMPI並列化(並列計算用高速パーソナルコンピュータ)および大規模系での計算効率の改善を行い8cpuで5万原子系の分子動力学計算を実用可能とした。 分子シミュレーション計算:これらを用いて、より複雑多相系として、スメクタイト(端面)-水系、スメクタイト(端面)-水溶液(NaCl, CaCl2など)系、種々の構造状態の蛇紋石-水系・水溶液(NaCl、MgCl2など)系の分子動力学計算を行った。 総合解析:実験測定結果と分子シミュレーションによる計算結果を用いて、スメクタイト、およびゼオライトの温度と湿度の変化に対する、構造変化と水和挙動の変化を総合的に解析した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiroshi Sakuma, Taku Tsuchiya, Katsuyuki Kawamura, Kenshiro Otsuki: "Large self-diffusion of water on brucite surface by ab initio potential energy surface and molecular dynamics simulations"Surface Science. 536. 396-402 (2003)
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[Publications] Mayumi KANEKO, Shinsuke MATSUNO, Takeshi MIKI, Masanobu NAKAYAMA, Hiromasa IKUTA, Yoshiharu UCHIMOTO, Masataka WAKIHARA, Katsuyuki KAWAMURA: "Local structural studies of LiCryMn2-y04 cathode materials for Li-ion batteries."The Journal of Physical Chemistry B. B107. 1727-1733 (2003)
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[Publications] 北山一美, 藤井直樹, 鈴木覚, 柴田雅博, 河村雄行, 市川康明: "ミクロ非均質材料の拡散現象-粘土から泥岩へ向けて"材料. 52(5). 456-465 (2003)
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[Publications] Naoki FUJII, Yasuyuki ICHIKAWA, Katsuyuki KAWAMURA, Satoru SUZUKI, Kazumi KITAYAMA: "Micro-structure of Bentonite Clay and Diffusion Coefficient Given by Multiscale Homogenization Analysis"Materians Science Research International. 9(2). 117-124 (2003)
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[Publications] Kenji Tateishi, Douglas du Boulay, Nobuo Ishizawa, Katsuyuki Kawamura: "Structural disorder along the lithium diffusion pathway in cubically stabilized lithium manganese spinel"J.Solid State Chemistry. 174. 175-181 (2003)
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[Publications] 笠原順三, 鳥海光弘, 河村雄行編著: "地震発生と水-地球と水のダイナミクス"東大出版会. 392 (2003)