2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14204066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 寛 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70156090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 昌樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70345263)
米澤 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90284538)
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Keywords | フォトクロミック / 多重機能 / 遷移金属錯体 / ビピリジン / ジチオラト錯体 / 光電変換 / 視覚 |
Research Abstract |
フォトクロミック分子ユニットと遷移金属錯体とを共役結合したフォトクロミック錯体を創製し、そこで発現する新しい多重機能を探索,解明することによって、非従来型の分子スイッチ,分子メモリシステムを構築することを目的とした。光信号を電気信号に変換する新しい系として、視覚の化学プロセスと類似した人工系を創成した。アゾベンゼンの光異性化に伴う大きな構造変化によって、錯形成能が大きく変化するように設計した新配位子、oABをもつ銅錯体[Cu(oAB)_2]^+においては、oABがトランス体のときは、πスタックによる安定化が大きいが、シス体のときは、その安定化が大きく減少するため、ビピリジン配位子(bpy)と容易に交換反応を起こす。また、[Cu(bpy)_2]_<2+/+>と[Cu(oAB)_2]_<2+/+>の間には大きなレドックス電位の差が存在するため、上記の配位子交換反応によって、系のポテンシャルが変化する。したがって、Cu(I)イオン、Cu(II)イオン、oABおよびbpyが共存する系では、アゾ基の光異性化による[Cu(oAB)_2]^+の構造変化を、配位子交換反応を介することでCu(II)/Cu(I)のレドックスポテンシャルを変化させることができる。溶液中のみでなく、高分子固体電解質中に上記化学種を含有した系での光信号-電気信号変換に成功した。 アゾベンゼン部位を両配位子上に持つジイミンジチオレン白金錯体を新規合成し、その光異性化挙動を検討した。この錯体の異性化挙動は、405nmの紫色光照射によってジチオレン側の、365nmの紫外光照射によってジイミン側のアゾベンゼン部位のトランス→シスの異性化を示し、また578nmのCT吸収帯の励起によって両アゾベンゼン部位のシス状態への変換を示した。すなわち、異なる波長の光で3種の安定状態を変換することができる単分子系であることが示された。
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