2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物間ケミカルコミュニケーションの分子生態学的基盤
Project/Area Number |
14204076
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10197197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
西岡 孝明 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80026559)
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Keywords | 植物間コミュニケーション / 植食性昆虫 / 捕食性昆虫 / 花外蜜腺 / 間接相互作用網 / シグナル生産コスト / シロイヌナズナ / コナガ |
Research Abstract |
(1)植物間ケミカルコミュニケーションの研究を通して、植食者の利用による植物の質的・形態的変化が、昆虫群集の相互作用ネットワークの多様化に貢献するという「間接相互作用網」の考え方を提唱し、これによって植物種間の相互関係が昆虫群集の成立に果たす間接効果を解明するアプローチを確立した。 (2)植物が食害を受けたときに天敵を呼ぶためのシグナル物質が、近くの未加害の植物からも発せられるという事実がある。そのような誘導シグナルが将来の危険を避けるための未加害植物の防衛戦略であるという仮説を理論的に検討した。この戦略は、(A)シグナル生産コストが食害による損失に比較して小さいとき、(B)植物の寿命が植食者の寿命に比べて長いときに進化しやすいことが分かった。 (3)植物間のコミュニケーションの結果、匂い受容植物上で花外蜜腺の分泌量が増加することを明らかにした。これはこれまでに報告されていない新しい植物間コミュニケーションの様式である。 (4)キャベツは害虫の食害を受けると、その捕食寄生性天敵を誘引する植物揮発性成分を誘導的に生産する。この誘導的生産に関与する代謝経路を解明した。アブラナ科モデル植物であるシロイヌナズナの野生型と遺伝子組換え体・ミュータントを用い、それが(A)機械的な傷を受けた場合、(B)害虫(コナガ幼虫)食害を受けた場合の2つの場合について、どの様な遺伝子が発現するのかをマイクロアレー法を用いて網羅的に解析した。植物間コミュニケーションにおける基盤的知見を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Release of phylogenetic constraints through low resource heterogeneity : the case of gall-inducing sawflies.2004
Author(s)
Price, P.W., Ohgushi, T., Roininen, H., Ishihara, M., Craig, T.P., Tahvanainen, J., Ferrier, S.M.
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Journal Title
Ecological Entomology 29
Pages: 467-481
Description
「研究成果報告書概要(欧文)」より
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