2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14204077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢原 徹一 九州大学, 理学研究院, 教授 (90158048)
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Keywords | 繁殖システム / 顕花植物 / 送粉シンドローム / ポリネータ / 浸透交雑 / キスゲ |
Research Abstract |
顕花植物に見られる多様な繁殖システムの適応的意義に関するこれまでの研究では、最適化モデルの理論的予測が、自然集団における植物の形質状態と合致することが確かめられてきた。しかし、理論的予測と植物の形質状態が合致したとしても、科学的検証としては不充分である。より決定的な検証は、形質が最適状態からずれた実験集団を設け、予測される方向への進化が起きるかどうかを実測することである。これまでの研究ではまた、形質の遺伝的背景を考慮外に置き、トレードオフを仮定した表現型モデルに依拠して研究を進めてきた。しかし今やAFLPマーカーを用い、比較的短期間にゲノム地図を作成し、どんな形質であれ、その変異に関与している複数の遺伝子座(QTL)のゲノム地図上の位置を決め、各QTLの形質変異への寄与率を推定することができる(QTLマッピング法)。本研究の目的は、これらのアプローチを使って、送粉シンドロームの進化機構、および有性生殖の適応的意義を解明することである。 平成16年度は、以下のような研究を行った。 継続調査を行っているキスゲ属野外浸透交雑集団の4年間分の調査結果を解析し、年によるポリネータ組成の変動によって、花形質への淘汰圧が変動することを明らかにし、論文を投稿した。 昨年度に引き続き、F1個体を両親に戻し交配し、F2世代の種子をとった。これらの種子を秋に播種し、F2世代を育成中である。 F1個体の花からRNAを抽出し、ESTライブラリーを作成した。その結果、花の色素の生合成経路に関わる遺伝子などの部分配列を特定できた。 種間交雑や、F1個体の戻し交雑の過程での、稔性の低下について調査し、稔性の低下による部分的な隔離機構が発達していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)