2005 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラの分裂を制御する分裂装置の構造と機能の全ゲノム情報を基盤とした解析
Project/Area Number |
14204078
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
黒岩 常祥 立教大学, 理学部, 教授 (50033353)
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Keywords | Cyanidioschyzon merolae(シゾ / 色素体分裂装置 / ミトコンドリア分裂装置 / ゲノム情報 / TOF-MS |
Research Abstract |
細胞内における基本的なオルガネラであるミトコンドリアと色素体の細胞核による分裂統御機構を明らかにするために、昨年度に引き続きシゾン(Cyanidioschyzon merolae)からオルガネラの分裂装置を単離しプロテオーム解析した。色素体の分裂装置(PDリング複合体)の円周がミトコンドリアの分裂装置(MDリング複合体)より2.5倍と大きいことから、これまで通り色素体の分裂装置の単離を試みた。従来の方法で得たPDもしくはMDリング複合体分画を構成するタンパク質を、一次元及び二次元電気泳動にかけ、バンドもしくはスポットを分裂装置形成タンパク質として考えTOF-MSにかけた。その結果を2004年に得たシゾンの全ゲノム情報を使って解析しそれらの遺伝子を同定した。しかしながら、かなりの量の純化したPDリング複合体が得られたように見えた分画で、しかも時期特異性の高いスポットでも遺伝子解析してみると膜に局在するタンパク質が多数出現した。つまり光・電子顕微鏡で観察されない膜のコンタミがあることが分かった。 そこで、最終年度後半において、次の幾つかの工夫をおこなった。○色素体の分裂の同調性を高度に高め、更に遠心にて分裂中の色素体のみを集めた。○分画した色素体からPDリング複合体を高純度に得るためにジェタージェント処理を工夫した。○PDリング複合体からタンパク質を抽出する方法を改良した。こうして得られたPDリング複合体のタンパク質を電気泳動にかけ、分けられたスポットをTOF-MS解析した結果、色素体の分裂装置に固有に存在していることが明らかとなっていたダイナミンがスポットもしくはバントとして出現することが分かった。このことは免疫蛍光・電子顕微鏡法で確かめられた。こうして基盤研究Aの最終年度において、基盤研究の期間を含め全8年の年月をかけて試みたPDリング複合体を構成するタンパク質とそれらの機能の全貌を明らかにすることができた。この方法はミトコンドリアの分裂装置にも適応できることが分かった。本研究でもその有効性を発揮したシゾンゲノムのネットでのヒット件数は、2年間で130件程度から30万件に達しようとしている。
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