2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ法による少数分子系の界面近傍分極の評価と制御
Project/Area Number |
14205009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 啓文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40283626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 俊壽 京都大学, 工学研究科, 助手 (10238785)
石田 謙司 京都大学, 工学研究科, 講師 (20303860)
小林 圭 京都大学, 国際融合創造センター, 助手 (40335211)
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Keywords | ダイナミックモード原子間力顕微鏡 / 分子分解能観察 / 局所電解制御 / ナノスケール分極制御 / 分子分極 / フタロシアニン分子 / 強誘電性高分子 / ダイナミック分極処理 |
Research Abstract |
原子間力顕微鏡のプローブ-試料間の静電相互作用力を利用して、試料分子の分極をナノスケールで計測し、分子双極子の配向制御を行うことが可能であり、分子による機能ナノ構造構築への展開が期待されている。このプローブによる局所電界制御は、プローブ-試料間の真空間隙が近傍電界へ与える影響を避けるため、一般的には、プローブを試料に静的接触した状態で行われるが、接触状態でのこうした局所領域への電気的制御が有機分子試料へ与える負荷は大変高く、実際に試料のダメージをしばしば伴う。ダイナミックモード原子間力顕微鏡では、プローブが試料に最接近したときには接触-非接触の境界状態にあるため、上記電気的局所制御による試料へのダメージを回避できるとともに、近傍電界への影響を著しく低減できる。本研究では、ダイナミックモード原子間力顕微鏡による分極制御(局所ポーリング)法を開発し、実際に強誘電性高分子P(VDF/TrFE)薄膜を用いて、局所分極制御を行うことに成功した。この方法では、通常接触モードの分極制御では試料へのダメージが大きく、分極処理が不可能な高温の相転移近傍(Tc=123℃)でのP(VDF/TrFE)薄膜の分極処理を行い、Tc以上では分極反転不可能であり、Tcを境に急激に強誘電性を消失することをナノスケールで直接確認することに成功し、この手法の有効性を示すことができた。さらに、単一分子の双極子が、基板との界面相互作用により基板上に安定に固定化される条件を明らかにするため、フタロシアニン環に垂直に双極子モーメントを有する鉛フタロシアニン(PbPc)の基板上への平行配向堆積を試みた。その結果、MoS2基板上で良好な平坦なPbPc単分子膜を得ることに成功し、また、KCI基板においても、PbPc分子が基板に平行配向した状態での2次元成長条件をダイナミックモード原子間力顕微鏡を用いた分子分解能観察により明らかにすることに成功した。
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Research Products
(6 results)