2003 Fiscal Year Annual Research Report
超弾性バイオマテリアルの耐生体環境特性の評価と表面改質による生体適合性の改善
Project/Area Number |
14205022
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
木村 雄二 工学院大学, 工学部, 教授 (90107160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清 (株)トーキン, 技術開発本部, 研究員
大方 一三 (株)パイオラックス, 研究員
鷹野 一朗 工学院大学, 工学部, 助教授 (70226801)
|
Keywords | 生体材料 / Ni-Ti超弾性材料 / 電気化学 / 腐食挙動 / 生体毒性 / 表面改質 / 酸化皮膜 / 生体適合性 |
Research Abstract |
人体の各部位に接触しながら使用される硬組織代替材料である医用材料の一つとして、形状記憶性能を利用した生体硬組織との固定素子としての使用ならびに超弾性的性質を利用し血管内手術を可能にするカテーテルおよびステント材料としての使用を意図したNi-Ti系の形状記憶合金が注目されている。同材料を現実に血管内ならびに股関節部に挿入し長時間使用する時の耐久性・信頼性を評価するために必要である種々の特性を明らかにすることを目指し、Ni-Ti超弾性バイオマテリアルの生体環境適合評価手法の確立と臨床応用で問題とされる成分イオンの溶出を極力抑えることを目指した表面改質技術の適用を意図して本研究を計画した。すなわち、カテーテル・ステント材料ならびに股関節部として使用が期待されるNi-Ti合金に対して、本年度は主として以下の諸点に対して検討を加え、下記の結論を得た。 1)擬似生体環境(乳酸リゲル溶液)下で3電極方式の電気化学試験によりNi-Ti超弾性合金の腐食特性を明らかにし、SUS316Lよりも優れた耐食性を示すことを明らかにした。 2)酸洗い、電解研磨、硝酸処理などの各種表面処理による耐食性の改善を検討し、実用上実用上十分であることを示した。更に、種々の条件下での大気酸化処理を行い、著しい耐生体環境性の改善を示すこと明らかにした。 3)人工体液中における電気化学試験時に溶出したステンレス鋼、Ti合金ならびにNi-Ti合金の腐食生成物を種々の濃度でマクロファージに投与し、これをインキュベーターにより培養後、これらの溶出イオンの生体毒性の評価をクリーンベンチ内の清浄な環境下で実施した。 以上に述べた種々の検討から、Ni-Ti超弾性医用材料の耐食性を中心とした種々の耐生体環境機能性の劣化過程を明らかにし、Ni-Ti合金の擬似生体環境中における安定性の評価ならびに溶出イオンの生体毒性の評価を通じてNi-Ti合金生体材料としての可能性を検討し明らかにした。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Miho ASHIHARA, Yuji KIMURA: "On the Corrosion and Wear Corrosion Characteristics of Various Substitutive-Materials for living Body in Quasi-Human Body Environment"Proceeding of Int.Sympo.on Advanced Materials and their Related Science. Vol.2. 547-551 (2003)
-
[Publications] 芦原美帆, 木村雄二: "擬似生体環境下における各種生体代替材料の摩耗および腐食摩耗特性の評価"第5回構造物の安全性および信頼性に関する国内シンポジウム,JACOSSAR2003論文集. Vol.5. 309-314 (2003)
-
[Publications] 佐久間, 岩田, 京極, 山内, 服部: "Ni-Ti形状記憶合金のエロージョン・摩耗特性に及ぼす第3元素の添加の効果"材料と環境. 52・12. 643-649 (2003)
-
[Publications] Y.Kimura, T.Homma, M.Morita: "Evaluation of Corrosion Resistance and Biocompatibility of Ti-Ni Alloy"Proceeding of 10th World Conference on Titanium, Ti-2003. (to be published). (2004)
-
[Publications] K.Suzuki, Y.Kimura: "Evaluation of Corrosion Resistance of Biomaterial Titanium Alloy and Formation of Biocompatible Calcium Phosphate Thin Film Using Electrochemical Method"Proceeding of 10th World Conference on Titanium, Ti-2003. (to be published). (2004)