Research Abstract |
本年度は,自己組織化マップハードウェアの設計,自己組織化システムを利用したロボットアーム制御,SOR(Self-Organizing Relationship)ネットワークの自律型ロボットヘの応用に関する研究を主に行った. (1)自己組織化マップハードウェアとして,結合重みベクトルをバイナリで表現した省スペース化志向のハードウェア,結合重みベクトルをアナログ量で表現した高速化志向のハードウェア,および高汎用性を目指したディジタルハードウェア,の設計を行った.結合重みベクトルをバイナリで表現したハードウェアは,用途が限定されるが,大規模な(データの次元数が高い,データ量が膨大)応用に非常に適しているという特長をもつ.一方,アナログハードウェアは,情報信号をパルス幅変調信号で表現し,結合重みベクトルをフローティングゲートの電圧で表現することで,自己組織化マップにおける結合重みベクトルの更新を容易に実現できるという特長をもつ.また,高い汎用性を目的としたディジタルハードウェアは,結合重みベクトルの次元数や競合層のユニット数,学習係数等の変更が容易であるという特徴をもつ.また,勝者ユニットの決定を高速に決定するアルゴリズムを採用することにより,処理の高速化を図っている. (2)本研究で提案した自己組織化システムを用いたロボットアームの手先位置制御は,ロボットアームの自由度が高い場合に有効な手法である.具体的には,目的とする手先位置が与えられた際,現在のアームの姿勢(各関節の角度)を考慮して,少ない関節角変化で目的を達成するアルゴリズムである.その制御規則は,自己組織化マップを改良したTopology Representing Networkに基づいていて,ランダムなアームの動作を繰り返すことで,徐々に制御規則を獲得することが可能である. (3)自己組織化学習チップを搭載する前段階として,SOR(Self-Organizing Relationship)ネットワークの自律型ロボットへの応用を行った.汎用コンピュータにおいてSORネットワークを実現し,強化学習的な評価関数を導入しロボットの行動を評価することにより,より柔軟なロボットの行動が得られるか検証した.シミュレーションにおいて,ロボットの環境及び選択した行動を学習することにより,ロボットの機能が向上することを確認した.現在,実ロボットを用いた実験に向けて準備を進めている.また,群ロボットへの発展を想定した全方位ロボットの設計を行い,試作機の開発を行っている.
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