Research Abstract |
本年度は,自己組織化システムの実応用を視野に入れたアルゴリズム開発とハードウェアの開発に重点をおいて下記のような研究を実施した. (1)移動ロボットの制御を行うために,時々刻々変化する外界を効率よく認識する時空間パターン認識器の開発を行った.外界を撮影した動画像を逐次入力することで,外界の時間変化に応じた2次元特徴マップを自己組織的に獲得することが可能である.また,外界に対する適切な行動を獲得する自己組織化関係(SOR)ネットワークのバッチ学習アルゴリズムを開発した.この手法を用いて,トレーラトラック後退制御に適用し,良好な結果を得た.また,SORネットワークのハードウェア化に適したアルゴリズムを開発し,ディジタルハードウェアの設計を行った.これにより,非常に高速な学習が可能となり,実ロボットに搭載した際の適応学習が容易になると考えられる. (2)昨年度までに,基底関数ネットワークを用いた,人間の知覚に重要と思われる情報を画像から効率的に抽出する手法を開発し,顔画像からの特徴部位に抽出を行い,その有効性を確認した.本年度は,本手法を文字情報処理向きに改良し,新聞や雑誌などに含まれる見出し情報の抽出を試みた.ドキュメントの傾きに依存せず安定に見出し部分の領域抽出が可能であることを確認した.現在,リアルタイム処理のために専用ハードウエアの開発に着手している. (3)SORチップの有効性検証用のロボットとして,二足歩行ロボットのプロトタイプを開発した.二足歩行ロボットは,トルク発生アクチュエータ,パラレルメカニズムを応用した関節及びジャンプ機構から構成されている.各アクチュエータは機構部と電子回路を内蔵するモジュールとして開発している.二足歩行ロボットの制御パラメータ調整は非常に困難な問題であり,SORチップの有効性検証には最適な課題である.
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