Research Abstract |
本研究課題の目的は,実世界の柔軟なレオロジー物体と同等の視触覚情報を,人間に提示するために必要な基盤技術を確立することである.本研究課題における成果は,1)パーティクルベースモデリングによるレオロジー物体の大変形モデリング技術の確立,2)FPGA (Field Programmable Gate Array)によるリアルタイム変形計算,3)レンジファインダと分布圧センサを用いたリアルタイム変形計測法の確立,4)Randomized Algorithmによる仮想レオロジー物体のモデルパラメータ同定技術である.パーティクルベースモデルは,大変形に対応でき,連続体モデルと比較すると計算時間が二桁以上短いため,変形提示に適している.ただし,従来手法を直接適用するとレオロジー的な変形を安定に計算できない.本研究課題では,レオロジー変形を安定に計算できるパーティクルベースモデリングの手法を確立した,結果として,厚さが10分の1に圧縮される変形のシミュレーションが可能になった.力覚提示を伴う場合には,1000Hz以上のサンプリングレートでの計算が必要となる.このようなサンプリングレートに対応できる変形計算を実現するために,パーティクルベースモデルにおける変形計算をFPGAに回路として実装し,仮想レオロジー物体のリアルタイム変形計算を実現した.結果として,1000点規模のパーティクルベースモデルのビデオフレームレート実行が可能になった.パーティクルベースモデルは,モデル内の多数の力学パラメータが複雑に関連しており,モデル同定が困難であるという欠点を有する.そこで,レオロジー物体の三次元変形形状と物体に作用する力を計測するシステムを構築するとともに,Randomized Algorithmを用いて,パーテイクルベースモデルの実際のレオロジー物体の計測値から,力学パラメータを同定する手法を確立した.結果として,変形誤差10%以内のモデル同定が可能になった.
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