2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブバンド間遷移を用いた光通信域光半導体の基礎的研究
Project/Area Number |
14205057
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岸野 克巳 上智大学, 理工学部, 教授 (90134824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 昭彦 上智大学, 理工学部, 助手 (90266073)
野村 一郎 上智大学, 理工学部, 助手 (00266074)
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Keywords | 量子準位間遷移 / ガリウムナイトライド / アルミニウムナイトライド / 分子線エピタキシー / 光通信 / 超格子 / 光集積回路 / ポンププローブ法 |
Research Abstract |
本研究では、GaN/AlN窒化物半導体量子井戸におけるISBTを用いた超高速光通信用デバイス材料の開発を目標とした。最終年度は、GaN/AlN系超格子結晶の高品質化の方向性を示すとともに、ISBT吸収緩和過程の概要を解明した。さらに、光通信波長帯ISBTデバイスを作製し、受光特性を評価した。 高品質超格子結晶成長のキーポイントであるAlNバッファ層の成長条件を探索し、分子線エピタキシー法によりサファイア基板上に原子レベルで平坦なAlNを成長する技術を確立した。さらに、ISBT吸収スペクトル半値全幅とGaN井戸幅の面内分布、表面粗さを系統的に評価し、ISBT半値全幅を超高速緩和速度による量子限界である数十meVにまで低減する可能性を示した。また、窒化物半導体の量子構造設計において問題となるピエゾ電界の影響を受けないA面GaN/AlN超格子結晶の成長条件を把握し、A面超格子のバンド間吸収波長はC面超格子に比べて短波長化し、矩形井戸モデルと一致することを示した。 GaN/AlN系ISBT緩和過程の観測と理論解析を行った。緩和は140fsの超高速散乱過程の他に1.3psの遅い成分が存在し、これがキャリア冷却過程であることを見出した。また、1.45〜1.94μmの広い波長域における非縮退ポンププローブ測定によって、n=1のフェルミ海の極めて動的な緩和過程を観測し、ISBT緩和機構の概要を明らかにした。非縮退ポンププローブにおいても縮退と同程度の非線形性が得られることを見出し、信号光と制御光の波長を大きく離すことができるというデバイス応用上の利点が期待されることを示した。 GaN/AlN系ISBT導波路デバイスを作製し、紫外線でISBT吸収を誘起して波長1.55μmのレーザ光強度を制御する実験に成功し、緩和特性に対する理論モデルを提案した。また、ISBT受光素子を作製し、光通信波長帯レーザ光の室温受光動作を実現し、受光特性を評価した。
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