Research Abstract |
近年,視覚情報メディア技術は長足の進歩を遂げており,平面的な二次元画像のみならず,我々が生活する三次元実環境そのものを扱うことも夢ではなくなってきている.これらの技術は,従来の画像技術では実現し得なかったより豊かな臨場感をもたらすものであり,遠隔地通信,バーチャルリアリティ,映像コンテンツ制作などの分野において応用が期待されている. 三次元視覚メディア技術の特徴の一つは,関連分野が多岐にわたることである.三次元ディスプレイ,コンピュータビジョン,コンピュータグラフィックス,多次元信号処理などの諸分野において従来個別に議論されてきた問題を,俯瞰的な立場から比較・融合し,新しい技術に発展させていく視点が必要である.研究代表者らが取り組む「空間共有通信」というテーマは,三次元視覚情報の取得から,符号化,伝送,分析,自由視点映像生成,さらには観察者への提示までの一連の処理を対象とするものであり,分野融合的な新しい切り口に基づく研究を展開するものである. 本研究では,三次元視覚情報の最小単位として「光線」に着目した「空間共有通信」のための基礎的な検討を行った.特に,三次元視覚情報を多眼カメラ画像という形で取得し,これを遠隔地の観察者に対して自由視点画像という形で提示するシナリオを想定し,実時間で高品質な自由視点画像を合成する手法を提案・実践した.また,光線情報の取得・分析・自由視点画像合成の過程を空間・周波数の両領域で解析し,従来の研究を統合する理論的体系化を試みた.さらに,上記のアプリケーションに適した光線情報の圧縮符号化手法についても検討を行った.
|