2003 Fiscal Year Annual Research Report
重力による復元性を利用した耐震構造および基礎構造に関する研究
Project/Area Number |
14205082
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 章 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (90158684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 勝巳 (株)フジタ, 技術研究所, 研究員
山田 哲 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (60230455)
坂田 弘安 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (80205749)
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Keywords | 浮き上がり / 模型実験 / 衝突 / 振動台 / 動的載荷 / 杭基礎構造 / 支持剛性 / 損傷低減 |
Research Abstract |
建築構造物は地震時に生じる転倒モーメントに抵抗するため、様々な引抜対策が施されている。しかし、兵庫県南部地震で通常では損壊すると考えられていた建築構造物が浮き上がることにより損壊を免れた例がある。地震時に発生する転倒モーメントに抵抗せず、建物の浮き上がりを許容することにより、杭にかかる軸力や柱にかかるせん断力が頭打ちとなり、建築物の損傷が低減されることは既に明らかにされている。 しかし、既往の研究では、支持する地盤を剛と仮定して行われたものが多い。実際の建物の中には、埋立地などの柔らかい地盤上の建物も存在し、杭の軸剛性を考慮した場合でも完全に剛とは言えない。 そこで、本研究では支持する地盤を弾性ばねとし、(1)浮き上がり許容の有無、(2)支持ばねの剛性(柔らかい場合も考慮)、(3)基礎幅、(4)層数、(5)入力地震動の大きさをパラメータに振動台実験を行った。さらに、浮き上がりを考慮する多質点のせん断型モデルを使用し、静的加力実験の結果をふまえた解析を行い、実験結果と解析結果から、建築構造物の浮き上がり現象による建物に与える影響の検討を行い以下の事がわかった。 ・最上層の相対水平変位は浮き上がる場合と、引抜拘束された場合でそれほど増加しない。 ・入力レベルを大きくすると、浮き上がり開始時間が早まり、浮き上がり回数が多くなるが、最大浮き上がり量が増加するとは限らない。 ・浮き上がると転倒モーメントと回転角の関係において、浮き上がり側の鉛直方向の慣性力による影響が大きくなるため、静的に考えた時での浮き上がりが発生する転倒モーメントを超えた状態となる。 浮き上がっていない状態での回転モーメントと回転角の関係においての勾配は、基礎幅、支持剛性と関係があり、浮き上がりが発生する転倒モーメントは、層数、基礎幅に関係がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 弘中孝宜, 佐伯英一郎, 永田 誠, 小林勝巳, 山田 哲, 和田 章: "細長い支持杭と太短い耐震杭を併用した損傷制御杭基礎構造"日本建築学会構造系論文集. 578. 59-66 (2004)
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[Publications] 小野泰寛(東京工業大大学院), 弘中孝宜, 山田哲, 佐伯英一郎, 永田誠, 小林勝巳, 和田章: "縮小模型を用いた損傷制御型杭基礎構造の振動台実験その5 模型の改良と実験計画"2003年度大会学術講演梗概集. B-2分冊. 345-348 (2003)
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[Publications] 弘中孝宜(S.FORM構造設計事務所), 山田哲, 佐伯英一郎, 永田誠, 小林勝巳, 和田章: "縮小模型を用いた損傷制御型杭基礎構造の振動台実験その6 実験結果"2003年度大会学術講演梗概集. B-2分冊. 347-350 (2003)
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[Publications] 山田 哲, 竹内 徹, 北川まどか, 鈴木一弁, 和田 章: "構面外剛性の低い接合部により接合された座屈拘束ブレースの座屈安定性"日本建築学会構造系論文集. 575. 121-128 (2004)
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[Publications] 中野清司, 田邉恵三, 松崎育弘, 和田 章, 坂田弘安, 久保山寛之, 杉山智昭, 池澤 誠: "PC圧着関節工法による損失制御架構の力学的性状に関する実験研究"日本建築学会構造系論文集. 576. 125-132 (2004)
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[Publications] 緑川光正, 小豆畑達哉, 石原 直, 和田 章: "地震応答低減のためベースプレートを浮き上がり降伏させた鉄骨架構の動的挙動"日本建築学会構造系論文集. 572. 97-104 (2003)