2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14205118
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
新名 惇彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30029235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 健一 地球環境産業技術研究機構, 植物分子生理研究室, 主席研究員
吉田 和哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50252622)
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Keywords | 耐塩性植物 / 分子育種 / 海水農業 / 海産性窒素固定藍藻 / Cyanothece sp. / アルギン酸カルシウム / ポッカリ / 植物成長阻害因子 |
Research Abstract |
世界の水資源の枯渇は深刻である。対策の一つに地球上の水の97%を占める海水の農業用水への利用がある。耐塩性植物の分子育種に必要な、好塩性細菌の適合溶質であるエクトイン生合成遺伝子、K^+/Na^+恒常性制御に関与しているイネHKTの変異遺伝子、イネのK^+輸送体、HAKおよび酵母のナトリウムポンプ遺伝子、ENA1の植物における有効性を検証し、海水で生育できるイネ等の実用植物創成の準備はほぼ整った。海水を通常の潅漑用水のように散水すれば、塩分濃縮は避けられない。そこで、海水を循環させる水耕栽培が望ましいが、窒素原の供給が課題となる。そこで、海水から分離された窒素固定単細胞藍藻をゲルに固定し、植物の根圏に配置し、窒素源を供給する系に挑んでいる。 東海大学、熊沢教授より分与された、海産性窒素固定藍潔、Cyanothece sp. TU 126は炭素源、窒素源を含まない無機塩のみから成る人工合成培地で25℃で12時間の明暗周期で63日間培養したところ、直線的増殖を示し、培養液に6.7mg/lの全窒素を分泌し、植物の生育を指示するのに十分であった。次に、Cyanothece sp.をアルギン酸カルシウムゲルに固定化し、培養したところ、遊離細胞の1/3程度の増殖であったが、60日後には培地中に5.6mg/lの全窒素が認められた。そこで、イネの耐塩性品種、ポッカリをゲル固定化細胞と共存培養した結果、以外にも、イネの生育は顕著に抑えられた。細胞を固定化しないゲルとの共存では、窒素飢餓が進行するまでゆっくり成長したことから、Cyanothece sp. TU 126が植物成長阻害因子を生産していることが強く示唆された。 次年度はこの阻害物質を同定し、それを生産しない変異体を分離する。また、想定される阻害物質が除草剤として利用できるか、も派生した課題である。
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