2002 Fiscal Year Annual Research Report
独自の肝細胞組織化手法を利用した慢性肝不全治療用ハイブリッド型人工肝臓の開発
Project/Area Number |
14205119
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
船津 和守 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80037960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
調 憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70264025)
島田 光生 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10216070)
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10274515)
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10194747)
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
|
Keywords | ハイブリッド型人工肝臓 / 肝細胞オルガノイド / 遠心力 / 中空糸 / 肝小葉類似構造 / 肝再生 / 慢性肝不全 / 細胞間結合 |
Research Abstract |
慢性肝不全治療用人工肝臓の開発に関して,本年度成果概要を以下に示す。 1.臨床用モジュールへのスケールアップの準備として,0.6g充填可能な容積1.8cm^3のモジュールから,3gの肝細胞が充填可能な容積8.95cm^3のモジュールへとスケールアップを試みた。灌流培養によりモジュールの機能評価を行った結果,スケールアップ前と比較して単位細胞あたりでの機能発現レベルは同等以上であり,良好なスケールアップが達成された。 2.肝再生可能な肝不全ラットモデルの作製に関して,70%部分肝切除と肝臓への血流遮断を組み合わせたモデルに関して検討を行った。その結果,血流の遮断時間を変化させることにより,重篤度を調節可能な肝不全モデルを確立した。 3.肝細胞オルガノイドが生存できる厚みを考慮した中空糸の作製法に関して,直径300μmの中空糸に熱圧縮処理を行うことで短径130μm程の楕円状の断面を有する中空糸の作製技術を確立した。異形断面中空糸内で形成された肝細胞オルガノイドでは壊死層の発生が抑制され,従来の約1.5倍の細胞数の維持が可能であった。その結果,中空糸内部初期固定化細胞数あたりの機能発現レベルは従来の1.5〜2.0倍の高機能化を達成した。現在,異形断面中空糸を用いたモジュールの作製およびその評価について検討中である。 4.オルガノイド形成と機能発現の関係を解明するために,細胞間接着を構成するE-cadherin分子に着目し検討を行った。その結果,E-cadherin分子の接着を阻害することによりヒト肝芽種由来細胞であるHepG2の球状オルガノイド(スフェロイド)形成が阻害され,肝特異的機能の一つであるアルブミン分泌能の発現の低下が認められた。以上の結果,スフェロイド形成にはE-cadherin分子分子の関与が重要であり,またスフェロイド形成と肝特異的機能発現には密接な関係があることが示された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 中澤浩二, 他: "肝細胞組織体の新規形成法と肝小葉類似構造を有する新規人工肝臓モジュールの開発"人工臓器. 31(1). 23-24 (2002)
-
[Publications] J.Fukuda et al.: "A Novel Hepatocyte Culture Technique by Centrifugal Force for a Hybrid Artificial Liver"Proceedings of 2002 Taiwan/Korea/Japan Chemical Engineering Conference. (CD-ROM). 161 (2002)
-
[Publications] T.Kajiwara et al.: "New Application of Polymers : Hybrid Artificial Liver Using Hepatocyte Organoids with Biocompatible Polymers"Proceedings of Polymer Processing Society, Asia/Australia Meeting. (CD-ROM). I27 (2002)
-
[Publications] 水本博, 他: "中空糸を利用したハイブリッド型人工肝臓の開発"成形加工. 14(12). 781-786 (2002)
-
[Publications] J.Fukuda et al.: "Efficacy of a polyurethane foam / spheroid artificial liver by using human hepatoblastoma cell line (Hep G2)"Cell transplantation. (in press). (2003)
-
[Publications] R.Sakiyama et al.: "Recovery of rats with fulminant hepatic failure by using a hybrid artificial liver support system with polyurethane foam/rat hepatocyte spheroids"The International Journal of Artificial Organs. (in press). (2003)
-
[Publications] 水本博, 他: "食品設備・機器事典(第6編:細胞大量培養)"産業調査会 事典出版センター. 1200 (2002)