2004 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性有機ケイ素反応剤の固相合成と不斉合成への応用
Project/Area Number |
14205126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉野目 道紀 京都大学, 工学研究科, 教授 (60252483)
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Keywords | 光学活性アリルシラン / アルケニルボラン / 触媒的不斉合成 / 不斉付加反応 / 不斉面選択的反応 / ホウ素化合物 / ケイ素化合物 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
不斉合成において有用反応剤として機能し,高分子担持剤に固定可能な新規有機ケイ素反応剤の創製を目指して新しい触媒反応の開発を行った。まず,光学活性β-ボリルアリルシランの効率的不斉合成を目的に,アレン類のパラジウム触媒シリルホウ素化を検討した。平成15年度の報告において,ホウ素上にキラル補助基を有するシリルボランによるアレンのシリルホウ素化が,光学活性ホスフィン配位子を有するパラジウム触媒を用いる二重不斉誘起の条件下,高いジアステレオ選択性で進行することを報告した。今回アキラルなシリルボランによる不斉シリルホウ素化を検討し,光学活性配位子の構造最適化を行うことにより,ピナコールシリルボランの反応とアレンの反応が最高で90%eeの不斉収率で進行することを見出した。反応の不斉収率はアレンの置換基のかさ高さに依存し,よりかさ高い置換基を有するアレンがより高い不斉収率を与えた。一方,より複雑な有機化合物の不斉合成に対応した反応開発も行った。特に,2重結合のα位に不斉点を有する末端アレンのシリルホウ素化反応について検討し,その立体選択性について明らかにした。例えばα位にアルコキシ基を有する1置換アレンの反応を二重不斉誘起条件下行うと,α位の絶対配置にかかわらずシリルホウ素化は一定の不斉面から選択的に進行した。matched pairにおいては立体選択性は96%d.e.以上に達し,特筆すべきことにmismatched pairにおいても84〜90%de程度に達した。このことは,不斉シリルホウ素化の立体選択性が試薬制御で行われていることを示しており,分子内に存在する不斉中心の立体配置にかかわらず望みの立体異性体を自由に合成できる可能性を示している。
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