海中微生物探査のためのマイクロ現場分析システムの開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14205147
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 山本 貴富喜 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20322688)
• Keywords: 現場型遺伝子解析装置 / マイクロ加工技術 / マイクロデバイス / micro TAS / PDMS(Polydimethylsiloxane) / Flow-through PCR / 微生物 / 極限環境

Research Abstract

本年度の研究において現場型微生物遺伝子解析装置,その中でも特に遺伝子解析に必要不可欠な反応操作であるPCR(Polymerase Chain Reaction)を行う部分について,主にマイクロ加工技術を応用しながら研究開発を行った.その結果実際に深海などの極限環境の現場でも十分に用いることが可能なほど小型・軽量且つ省電力な装置の開発に成功した.遺伝子の増幅効率に関しても,適当な材料表面処理法の確立等によって向上することが出来た.またその開発の過程でマイクロ加工技術を応用して製作した装置を現場応用するために必要なシステム構成に関するノウハウを多く得ることが出来た.さらに深海などの高圧・低温の環境を模擬するための高圧実験水槽システムを構築し,実際にそれを用いて30MPa(水深3000m相当)の高圧力条件下でPCRが可能であることを確認することが出来た,この様に高圧力下でPCRの様な複雑な生化学反応操作が可能であることを示すことが出来たことが高い評価を受けている.また,装置の制御系に関しても小型の制御コンピュータを導入することによって現場で遺伝子解析装置を稼働させることの出来るシステムも構成することが出来た.これによって現場で微生物の遺伝子解析を行うための基盤技術が一通り確立したといえ,最終的に現場遺伝子解析を行うための装置のプロトタイプを完成することが出来た.
尚,これらの発表に関してはそれぞれの会議の予稿集に掲載され、また海外論文誌においても掲載が決定している.また,研究の方針について特に海洋科学技術センターと連絡を取りながら継続して進行中である.

Research Products

• [Publications] 福場辰洋, 藤井輝夫: "マイクロファブリケーション技術を応用した遺伝子解析システムの開発とその展望"ゲノム医学. 71. 577-584 (2003)
• [Publications] T.Fukuba, T.Yamamoto, T.Naganuma, T.Fujii: "Microfabricated Flow-through PCR Device for DNA Amplification-Towards in Situ Gene Analysis"Chemical Engineering Journal. (In press). (2004)
• [Publications] 福場辰洋, 高木尚哉, 円谷晃司, 長沼毅, 藤井輝夫: "マイクロ流体デバイスを用いた現場計測システム-海底ケーブルを利用した新技術の開発とその展開"月刊地球. (In press). (2004)