2002 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞多倍数性(Polysomaty)の機構解析とその細胞育種への応用
Project/Area Number |
14206002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三位 正洋 千葉大学, 園芸学部, 教授 (30093074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 郁郎 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50207867)
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Keywords | 体細胞多倍数性 / フローサイトメトリー / DNA含有 / 倍数体 / endoreduplication / polysomaty / 形質転換 |
Research Abstract |
本年度はpolysomatyと培養変異との関連を中心に、以下の研究を行った。 (1)植物組織培養時にしばしば見られる倍数性変異の起こる機構を明らかにするため、polysomatyを有するアスパラガスの無菌実生から得た茎切片を培養し、外植片のpolysomatyとカルスの倍数性変異との関連を調査した。アスパラガスの茎は2C-8C細胞で構成されているが、茎頂から離れるに従って高次倍数性の細胞が増加していく傾向が認められた。茎頂からの距離が異なる様々な外植片を培養し、誘導されてくるカルスの倍数性と比較した結果、茎頂から遠い外植片に由来するカルスほど、高次倍数性の細胞の割合が高いことが判明した。従って、異なる倍数性細胞が同等に分裂能を持っていることが示唆された。さらに、いずれの外植片においてもカルスでは2C細胞が減少し、あらたに16C細胞が出現しており、脱分化の過程で倍数性レベルが上昇する傾向が見られた。茎切片からのカルス形成は主として切断面近くの皮層組織で起こっていることが確認された。この結果をもとに、組織培養の初期過程における茎組織内の倍数性細胞の分布と、そのDNA含量の変化を追跡したところ、カルス形成の起こる前に、細胞の倍数性レベルの上昇、すなわちendoreduplicationが起こっていることが確認された。カルス誘導培地には植物ホルモンとしてNAAとカイネチンが添加されているが、両者を別々に添加した培地で培養した場合、倍数性レベルの上昇はNAA単独で起こることが認められた。 (2)倍数性の異なる細胞を単離・分別するための前提となる、組織の磨砕による単細胞化、および酵素処理による単細胞化を広範な植物で試みた。その結果、数種の植物で単細胞化が可能なことが判明した。この結果をもとに現在、フローサイトメーターによる単細胞のDNA含量測定方法を検討中である。 (3)polysomatyに関与すると考えられているCCS52遺伝子をpolysomatyを持たないペチュニアへの導入を開始した。
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