2002 Fiscal Year Annual Research Report
MCI(軽度認知機能障害)の危険因子に関する包括的縦断研究-痴呆予防の新たなストラテジー開発を目指して-
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14207021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
下方 浩史 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター・疫学研究部, 部長 (10226269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 直明 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター・疫学研究部, 室長 (40201686)
安藤 富士子 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター・疫学研究部, 室長 (90333393)
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Keywords | 認知機能障害 / 知能検査 / 短期記憶 / 老化 / 言語性知能 / 動作性知能 / 縦断研究 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
約2,300名の地域住民を対象にしたコホート調査を平成9年から2年ごとに継続して実施している。対象者の観察開始時年齢は40歳から79歳である。平成14年5月に第2次調査を終了し引き続いて第3次調査を開始した。今年度は知能や心理調査、栄養、身体活動、臨床検査など第1次および第2次調査の結果をまとめてモノグラフとして印刷するとともにインターネット上でも公開した(http://www.nils.go.jp/organ/ep/index.html)。初回調査でのMMSEによる認知機能障害のスクリーニングでは23点以下の認知機能障害の存在が疑われる者は60歳以上の1,122名中75名6.6%(男性8.2%、女性5.1%、60歳代5.0%、70歳代8.4%)であった。またWAIS-Rから推定したIQが100以上であるにもかかわらずMMSEにおける短期記憶が低下している者(MCIの特徴である記憶障害のみが顕著である者)は51名4.5%(男性6.2%、女性3.1%、60歳代3.0%、70歳代6.0%)であった。IQと心理学的および身体的要因との相関を算出した。男女のすべての年齢群でIQは自尊感情と弱い正の相関があり、ADLとの関連では60歳以上男女において弱い正の相関があった。自律性との関連では60歳未満女性で弱い正の相関があり、また生活満足度や主観的健康観との関連では男女ともどの年齢群においてもほとんど相関がみられなかった。知能の縦断的変化について検討するため性別と教育歴を共変量とした反復測定の分散分析をおこなった。その結果、IQとWAIS-Rの下位尺度である類似、絵画完成については、2年間の追跡では有意な得点の変化は認められなかった。知識問題においては有意に得点が上昇していたが符号問題では有意な得点の低下が認められた。前回調査の練習効果があらわれている可能性も考えられるが、先行研究でも高齢期における言語性知能の維持が示唆されており、本研究の結果はこれらの結果と一致するものであるといえる。一方、動作性知能は練習効果の影響があっても低下しており、加齢に伴う変化と考えられた。今年度はさらに遺伝子とMCIとの関連を探るため、関連遺伝子多型のタイピングを実施した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kohara K, Fujisawa M, Ando F, Tabara Y, Niino N, Miki T, Shimokata H: "MTHFR Gene Polymorphism as Risk Factor for Silent Brain Infarcts and White Matter Lesions in Japanese General Population : NILS-LSA Study"Stroke. (in press). (2003)
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[Publications] Yamada Y, Fujisawa M, Ando F, Niino N, Tanaka M, Shimokata H: "Association of a polymorphism of the transforming growth factor-b1 gene with blood pressure in Japanese"Journal of Human Genetics. 47. 243-248 (2002)
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[Publications] 藤澤道子, 安藤富士子, 下方浩史: "高齢者臓器疾患は認知機能低下を招く"Geriatric Medicine. 20(2). 241-245 (2002)
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[Publications] 藤澤道子, 安藤富士子, 下方浩史: "ホモシステインと痴呆"動脈硬化予防. 1(2). 98-99 (2002)
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[Publications] 藤澤道子, 安藤富士子, 下方浩史: "わが国における痴呆性疾患の疫学"クリニカ. 29(3). 172-176 (2002)
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[Publications] 下方浩史, 藤澤道子, 安藤富士子: "疫学調査におけるMCI"Geriatric Medicine. 20(3). 303-308 (2002)
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[Publications] 下方浩史, 安藤富士子: "Overview-老化の縦断的研究の最近の展開 (日本老年医学会編)、老年医学 update 2002"メディカルビュー社、東京. 150-153 (2003)