Research Abstract |
1.先に我々が発見した,Y染色体特異STR多型マーカー,DYS441,DYS442,DYS443,DYS444,DYS445の5種類のマイクロサテライトマーカーを,同時にPCR増幅し,型判定できる系を報告したが,今回,法医学・法科学的な陳旧資料や混合資料の型判定に十分適用可能なmultiplex-PCR法を確立し,陳旧精液斑,血痕,唾液斑で5年乃至14年経過したものでも型判定が可能で,男女の混合資料では1:100の混合比率でも型判定ができた。また,男性2名の混合資料では1:4の混合比率までは正確な型判定が可能であった。 2.ヒトdeoxyribonuclease I遺伝子のイントロン4内に存在する56bpを反復配列単位とする新規なVNTR多型を発見し,日本人集団(群馬県,福井県,鳥取県,福岡県各在住者)及びドイツ人集団で,遺伝子型の分布の調査などをおこない,報告した。 3.ミトコンドリアDNAは,塩基配列に多型性があることと母系遺伝形式をとることから,法医学的な個人識別や母子鑑定,人類遺伝学・人類学的な系統分類のマーカーとして利用されてきた。また,ミトコンドリアDNAは年齢依存的に変化することは知られていたが,定量的な解析はおこなわれていなかった。今回,マウスをモデル動物として,臓器別の年齢依存的なミトコンドリアDNA量の変化を定量的に解析する方法を確立し,ミトコンドリアDNA量は臓器間で大きな相違があり,年齢依存的な変動が認められ,加齢に伴ってミトコンドリアDNA量,ミトコンドリアDNAの転写産物及びミトコンドリアDNA上にコードされたタンパク質の発現量のいずれもが増加する傾向を示すことを明らかにした。 4.マウス脳の年齢依存性発現遺伝子の解析をおこない,量的発現変化を示す遺伝子5個を同定し,報告した。
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