2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝組織幹細胞(SP細胞)を用いた肝不全治療法開発のための実験的研究
Project/Area Number |
14207026
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 義則 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70229227)
斉藤 英胤 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80186949)
加藤 真三 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30177448)
東 俊文 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00222612)
冨田 謙吾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50317129)
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Keywords | 肝再生 / SP細胞 / 細胞融合 / 移植医療 / 肝硬変 / 肝不全 |
Research Abstract |
肝臓からゴラゲナーゼ二段階環流法で得た細胞液を低速遠心することにより、比重の高い成熟肝細胞を取り除いた肝臓非実質細胞分画をヘキスト染色し、FACSで解析したところ0.3%前後のSP分画が存在した。骨髄と脾臓の単球分画からは、それぞれ0.5%、3%のSP分画を認めた。脾臓は他の臓器に比べ、10倍近いSP細胞を含んでいることが示された 分離した直後のSP細胞から抽出したRNAを用いてRT-PCRを行ったところ、肝臓・骨髄・脾臓いずれから分離したSP細胞に関しても、調べた範囲で、転写因子も含め、肝特異的マーカーの発現を認めなかった。このことから、これらの細胞は、もともとは肝細胞の特徴を持っていない細胞であることが示された。GFPトランスジェニックラットの肝臓から分離したSP細胞を、コラーゲンゲルサンドイッチ法を用いて初代培養肝細胞と共培養したところ、培養開始直後から5日目までは小型で球形の細胞が孤立して存在していたGFP陽性細胞が、6目目から増殖してコロニーを形成し、10日目にはコロニーを形成する細胞数がさらに増加した。形態的にも大型化し、多角形へと変化した。2週間培養した時点で免疫染色を行ったところ、GFP陽性細胞のほとんどがアルブミン陽性となった。SP細胞をコラーゲンゲルサンドイッチ法を用いて単独で培養したところ、細胞は早期に死滅した。一方、肝臓から分離したMP細胞を同様に培養したところ、SP細胞の場合と同様に増殖してコロニーを形成したが、ほとんどがアルブミン陰性だった。分離直後には肝細胞様の特徴を持っていなかった肝臓由来のSP細胞が、初代培養肝細胞と共培養することにより肝細胞様の変化を示し、SP細胞以外の分画ではそのような現象を認めなかったことから、我々がSP細胞として分離した細胞集団に、肝細胞に分化しうる細胞が濃縮されたことが示された。同様に、GFPトランスジェニックラットの骨髄および脾臓から分離したSP細胞を、コラーゲンゲルサンドイッチ法を用いて初代培養肝細胞と共培養したところ、6日目には細胞は増殖してコロニーを形成し、形態的にも小型で球形だった細胞が大型化し多角形に変化した。分離直後の細胞から抽出したRNAでは発現が認められなかったアルブミン、CK18、AFPといった肝特異的マーカーが、2週間の共培養後には免疫染色で陽性となった。肝臓以外の臓器から分離したSP細胞が、初代培養肝細胞と共培養することで肝細胞様の表現形を示したことから、SP細胞は、それが存在した臓器以外の臓器の細胞にも分化できる「可塑性」を持った細胞が含まれる細胞集団であることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Horie Y, Yamagishi Y, Kato S, Kajihara M, Kimura H, Ishii H.: "Low-dose ethanol attenuates gut ischemia/reperfusion-induced liver injury in rats via nitric oxide production."J Gastroenterol Hepatol.. 18(2). 211-217 (2003)
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[Publications] Ishii H, Horie Y, Tomita K, Yamagishi Y.: "Alcoholic liver diseases in Japan and modification by hepatitis virus"Nihon Arukoru Yakubutsu Igakkai Zasshi.. 38(5). 403-414 (2003)
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[Publications] Horie Y, Yamagishi Y, Kajihara M, Kato S, Ishii H.: "National survey of hepatocellular carcinoma in heavy drinkers in Japan."Alcohol Olin Exp Res.. 27(8 Suppl). 32S-36S (2003)
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[Publications] Tomita K, Azuma T, Kitamura N, Nishida J, Tamiya G, Oka A, Inokuchi S, Nishimura T, Suematsu M, Ishii H.: "Pioglitazone prevents alcohol-induced fatty liver in rats through up-regulation of c-Met."Gastroenterology. 126(3). 873-885 (2004)
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[Publications] Tomita K, Azuma T, Inokuchi S, Kitamura N, Nishimura T, Kato S, Ishii H.: "Regulation of mouse retinol dehydrogenases and retinal dehydrogenases in hepatocyte differentiation."Nihon Arukoru Yakubutsu Igakkai Zasshi.. 38(1). 46-57 (2003)