2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝組織幹細胞(SP細胞)を用いた肝不全治療法開発のための実験的研究
Project/Area Number |
14207026
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀江 義則 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70229227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 眞三 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30177448)
斉藤 英胤 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80186949)
冨田 謙吾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50317129)
井口 清香 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00383711)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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Keywords | SP細胞 / 肝細胞分化 / 脾臓 / 自家細胞移植 / 肝再生 |
Research Abstract |
肝臓非実質細胞分画、骨髄単核球分画、脾臓単核球分画をHoechst 33342で染色し、排泄能の高い分画、すなわちside population(SP)細胞をフローサイトメーターで分離することに成功した。脾臓単核球分画のSP細胞存在率は、肝臓非実質細胞分画、骨髄単核球分画に比べ明らかに高かった。いずれの細胞集団から分離したSP細胞においても、肝特異的蛋白質の遺伝子発現は認められなかった。 分離採取したSP細胞を、初代培養肝細胞とコラーゲンゲルで挟んで共培養したところ、SP細胞由来の細胞がコロニーを形成した。また、SP細胞が肝特異的蛋白質を発現するようになることが、RT-PCR法および免疫染色で明らかになった。この現象は、SP細胞と肝細胞の間にコラーゲンゲルを挟んで、物理的な接触がないように培養しても生じることから、SP細胞が、細胞融合以外の機序で、肝細胞機能を獲得しえることが示された。 脾臓のSP細胞を、肝臓に障害を与えた動物に移植すると、生着し肝特異的蛋白を発現するようになった。肝細胞機能獲得する率は、SP細胞のほうが、骨髄単核球分画や骨髄間葉系細胞よりも高いことから、SP細胞は組織幹細胞の濃縮手法として有用であることが示唆された。 肝臓に障害を与えた動物の脾臓からは、障害を与えなかった動物(コントロール群)の脾臓からよりも、高い率でSP細胞が分離できた。肝臓障害以外の機序で脾臓が種大する病態の動物の脾臓のSP率は、コントロール群と差を認めなかったことから、肝障害時に増加あるいは減少するサイトカインが、脾臓のSP細胞を増加させる可能性が示唆された。 以上の結果から、肝不全患者の治療法として、脾臓から採取したSP細胞を自家細胞移植する方法が、検討に値すると思われた。
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