2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14207031
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
納 光弘 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10041435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20159510)
梅原 藤雄 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20271140)
久保田 龍二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70336337)
出雲 周二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30143811)
宇宿 功市郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30281223)
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Keywords | HAM / HTLV-Iプロウイルス量 / 治療開発 / 予後判定 / 細胞傷害性Tリンパ球 / dN / dS比 |
Research Abstract |
HAM発症の宿主因子として、我々は現在までに宿主遺伝子の多型解析、ウイルスのサブタイプ、ウイルス量、およびHLAを検討し、多くの疾患感受性因子を同定してきた。本年度はさらにインターロイキン10プロモーター領域の遺伝子多型がウイルス量に影響し、HAM発症のリスクと関係することを示した。またHAM患者で無症候性キャリアーとくらべメタロプロテイナーゼ9(MMP-9)プロモーターのタンデムリピートが長く、HTLV-I Tax遺伝子の活性上昇に関連しHAM発症に関与していることを明らかにした。これらの発症促進因子をもとに多重回帰分析よりHAM発症のリスク式を算出し、このリスク式を用い無症候性キャリアーのHAM発症オッズ値を求め臨床症状と比較した。下肢腱反射亢進と腹壁反射消失がオッズ値と相関を示した。このことは、無症候性キャリアーの一部には潜在性の脊髄障害が存在する可能性を示している。またこれら高オッズ値の無症候性キャリアーは今後も注意深い臨床経過観察を必要とし、HAM発症に向かう適切な時期での治療介入の必要性を示している。また、ウイルス量が同程度のHAM患者と無症候性キャリアーの末梢血リンパ球のウイルス蛋白発現細胞でのサイトカイン産生能を測定し、HAMではウイルス量あたりのTax蛋白発現細胞が多くサイトカイン産生細胞が多いことを認め、HAMの感染細胞は活性化していることを示した。また、ウイルスの変異と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の関係を検討し、多数のHTLV-I遺伝子のシークエンスをもとにした非同義置換/同義置換(dN/dS)の解析を行った。HTLV-Iウイルスを生体内で排除しようとするCTLによる正の選択圧がかかり、変異ウイルスが発生しているが、変異ウイルスが免疫学的監視より逃れて増殖するような免疫学的逸脱はないことを示し、CTLワクチンの開発は意味のあることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)