2002 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス制御による低酸素性虚血性脳障害予防に関する研究
Project/Area Number |
14207043
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 肇 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40030978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 直樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (20314487)
竹島 泰弘 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40281141)
常石 秀市 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (10271040)
川崎 圭一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助手
北山 真次 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10346257)
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Keywords | アポトーシス / トロンビン受容体 / PAR-1 / PDGF-α受容体 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
トロンビン受容体Protease-activated receptor-1(PAR-1)の活性化は、培養系のグリア細胞をより未分化な状態にrestingさせ、細胞障害性ストレスから防御すると考えられている。我々は、幼若ラットの低酸素虚血脳障害モデルにおいても、PAR-1活性化がアポトーシスを抑制し、海馬神経細胞を防護することを明らかにしてきた。この事実をもとに、髄鞘形成を担うoligodendrocyte(OL)前駆細胞の分化を抑制し、その増殖を促すとされる血小板由来成長因子(PDGF)系に着目し、その主役であるPDGF-α受容体がPAR-1の分化抑制機序に関わることを検討した。 ラットグリオーマC6細胞において、PAR-1の活性化はcamptothecinによるアポトーシス細胞死を有意に抑制した。また、PAR-1のリガンドであるTRAPの添加実験において、24時間後にPDGF-α受容体のmRNA発現は強く促進された。一方、PDGF-α受容体のリガンドとなるPDGF-A鎖mRNAの発現には影響を及ばさなかった。また、生体においても、低酸素虚血障害ラットにおいて、大脳の障害発生部位にPDGF-α受容体の発現が一過性に増強され、その後同部位に健側に比して、より早期に髄鞘蛋白の発現が認められることを明らかにした。 C6細胞においては、PAR-1の活性化によるアポトーシス抑制遺伝子Bc1-2、逆作用のアポトーシス促進遺伝子Baxの発現変化は、両者とも認められなかった。PAR-1活性化によるアポトーシス現象の抑制、あるいは過剰な活性化によるアポトーシス現象の促進は、ラット低酸素虚血脳障害モデルで明らかであり、PAR-1活性化とアポトーシス現象との関連を明らかにする鍵がPDGF-α受容体の系に存在すると思われ、解析中である。
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Research Products
(1 results)