2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14207067
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
青柳 優 山形大学, 医学部, 教授 (40107181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 康 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60261301)
池田 稔 日本大学, 医学部, 助教授 (30130420)
高橋 姿 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10154824)
村上 信五 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (80157750)
村田 清高 近畿大学, 医学部, 教授 (60026945)
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Keywords | ベル麻痺 / 単純ヘルペスウイルス / 水痘帯状疱疹ウイルス / ラムゼイハント症候群 / PCR法 / ウイルス抗体価 / 抗ウイルス剤 / ステロイド |
Research Abstract |
ベル麻痺の病因はこれまで不明であり、様々な研究者により仮説が提唱され議論されてきが、近年では単純ヘルペスウイルス(以下HSV)の再活性化が発症に関与していることが明らとなってきた。これらの研究成果はベル麻痺の効果的な保存的治療に、抗ウイルス剤使用の可能性を示唆するものであり、この報告を契機に諸外国ではベル麻痺に対する抗ウイルス剤投与の臨床試験が行われつつある。一方水痘帯状疱疹ウイルス(以下VZV)により発症するラムゼイハント症候群は、ベル麻痺に比べその治癒率は低く、またベル麻痺として治療される中にもVZVによるものが含まれることも知られてきた。 本研究の目的は、ウイルス性顔面神経麻痺の病原ウイルスの早期診断法を開発するとともに、本疾患に対する抗ウイルス剤-ステロイド併用療法の有効性を検討して、病因に基づいた治療法を確立することにある。その方法として、早期診断の目的にベル麻痺患者の治療開始前およびその回復過程において経時的に唾液、咽頭ぬぐい液、血液などを採取し、検体中のHSV-DNAあるいはVZV-DNAの同定をPCR法にて試み、また血液に対しては、従来行われてきたペア血清によるウイルス抗体価の測定を行うこととした。一方、治療効果判定のために、症例を抗ウイルス剤併用ステロイド療法群と従来からのステロイド単独療法群に無作為に分別して、前向き無作為比較試験を行い、その治癒率の差異について比較検剖した。その結果、ウイルスDNAの検出と血清ウイルス抗体価の測定より、ベル麻痺141例中、40例(28.4%)でHSV再活性化が、37例(26.2%)でVZV再活性化が認められた。すなわち約3割の患者でHSVの関与が、また全体の1/4以上の患者でVZVの関与が明らかとなった。一方124例の咽頭ぬぐい液からHSVの分離を試みたが5例で分離されたのみであった。またベル麻痺と診断された患者の治癒率では、ステロイド単独療法群と抗ウイルス剤併用ステロイド療法群間には、その治癒率に統計学的有意差を求めなかったが、VZVの関与が認められた症例を除いて検討すると、抗ウイルス剤併用ステロイド療法群が有意に高い治癒率を示した(p<0.05)。 この結果をまとめ、3月11日に東京において研究成果報告会を行った。
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