2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経細胞障害性眼疾患における神経細胞保護・再生治療の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
14207069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新家 眞 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00092122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 賢治 山梨医科大学, 医学部付属病院, 講師 (30194723)
玉置 泰裕 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20217178)
鈴木 康之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80196881)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / 網膜ミュラー細胞 / 新経栄養因子 / 網膜幹細胞 / 一酸化窒素 / 神経保護作用 |
Research Abstract |
・ラット網膜神経節細胞(以下RGC)の単離培養系およびミュラー細胞単離培養系を用いたin vitro実験では、まず、網膜ミュラー細胞の神経保護効果について明らかにするために、薬剤添加による神経栄養因子の発現の変化について検討した。結果、mRNAレベルではベタキソロールはBDNF, CNTFの発現を増強し、イガニジピンはBDNF, CNTF, GDNFの発現を増強することが明らかになった。さらにベタキソロールとイガニジピンはBDNF, CNTFのタンパク質レベルの発現も増強することも明らかにした。また、血管拡張作用を有し、神経伝達物質でもある一酸化窒素(NO)に着目し低酸素状態において単離培養されたRGCもしくはミューラー細胞においてNOの産生がどのように変化するかについて検討した。ミューラー細胞では、低酸素負荷後早期24時間にはeNOSの発現が、48時間程度にはiNOSやnNOSの発現が増加し、NOの放出量はiNOS、nNOS-mRNAの発現増加に比例して増加することを明らかにした。一方、RGCにおいては、低酸素負荷による有意な変化はmRNAにもNO量にも認められなかったことから、低酸素負荷に対しては、網膜グリア細胞が、RGCよりも有意に反応し、NOを産生、RGCへ障害を来している可能性が考えられた。 ・網膜幹細胞による網膜再生に関する研究では、成体家兎より網膜幹細胞を取得し、その局在・分化能に着目しその性状をin vitroで解析した。その結果、毛様体色素上皮には幹細胞が存在し、無色素上皮には分化の進んだ網膜前駆細胞が存在する可能性が示唆された。更に、感覚網膜細胞のみならず網膜色素上皮細胞も成体網膜幹細胞から作られる事を明らかにした。 ・ラット眼を用いたin vivo実験では、NMDAによる障害モデル・網膜虚血モデル・グルタミン酸網膜負荷モデルを作成しカルシウムブロッカーおよびビタミンB6の網膜神経細胞に対する神経保護効果を検討した。その結果虚血およびグルタミン酸負荷に対してカルシウムブロッカーが神経保護作用を示すことがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ishi K, Matsuo H, Fukaya Y, Tanaka S, Sakaki H, Waki M: "Iganidipine, a new water-soluble Ca2+ antagonist : ocular and periocular penetration after insttillation"Invest Ophthalmol Vis Sci. 44(3). 1167-1177 (2003)
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[Publications] Usui T, Nakajima F, Ideta R, Kaji Y, Suzuki Y, Araie M: "Hyaluronan Synthase in trabecular meshwork Cells"Br J Ophthalmol. 87(3). 357-360 (2003)
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[Publications] Ohtake Y, Tanino T, Suzuki Y, Miyata H, Taomoto M, Azuma: "Phenotype of cytochrome P45O1B1 gene (CYP1B1) mutation in Japanese patients with primary congenital glaucoma"Br J Ophthalmol. 87(3). 302-304 (2003)
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[Publications] Hu CY, Matsuo H, Tomita G, Suzuki Y, Araie M, Shirato S: "Clinical characteristics and leakage of functioning blebs after trabeculectomy with mitomycin-C in primary glaucoma patients"Ophthalmology. 110(2). 345-352 (2003)
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[Publications] Sumi I, Shirato S, Matsumoto S, Araie M: "The relationship between visual disability and visual field in patiel with glaucoma"Ophthalmology. 110(2). 515-523 (2003)
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[Publications] Fukaya Y, Tamaki Y, Tomidokoro A, Araie M: "Effects of kallidinogenase on Ocular Tissue Circulation in Rabbits"J Ocul Pharmacol Ther. 18(6). 515-524 (2002)