Research Abstract |
本年度は,最終年度として,平成16年度までに得られた結果を踏まえ,データベースシステムに改良を加えると共に,プロジェクトに参加している7大学において,装着した部分床義歯症例数の増加に努め,収集されたデータに対する詳細な検討を行った.さらに,症例の難易度を客観的に表すためのパラメータの検出を行った. まず,これまでに開発されたデータ収集ソフトウェアに対して,以下の改良を加えた.すなわち,個人情報保護の観点から,氏名は収集項目から除外し,生年月日,性別,カルテ番号については,ホスト校にデータを転送しない仕様とした.さらに,宮地の提唱している咬合三角を採用するとともに,症例の概要をより詳しく記録するため,画像管理管理機能を付与した. 次に,実際に装着された部分床義歯およびその症例に関して収集された以下の22項目について,症例の難易度に及ぼす影響の有無について,詳細な検討を行った.収集した項目は,義歯ならびに症例に関する項目として,(1)義歯装着経験年数,(2)患者の年齢・性別,(3)欠損歯数,(4)歯の欠損形態,(5)歯の欠損部医,(6)支台歯の状態,(7)残存歯の咬合状態,(8)欠損部顎堤の状態,(9)欠損部顎堤の対合歯の状態,(10)口腔内の状態,(11)筋の緊張度,(12)顎関節症の有無,(13)行った前処置,(18)義歯調整回数の18項目,処置を行った歯科医師に関する項目として,(1)日本補綴歯科学会認定医取得の有無,(2)臨床経験年数,(3)専門領域,(4)勤務場所の4項目の合計22項目である. その結果,症例の難易度に影響を及ぼす主な因子として,(1)義歯装着経験年数の増加,(2)欠損歯数の増加,(3)咬合支持歯数の減少の3因子が選択された.さらに,欠損形態においては,中間欠損が他の欠損形態に比べて難易度が低くなった.また,宮地が提唱している咬合三角の理論は,症例の難易度を客観的に評価するのに有効であることが示された.
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