2004 Fiscal Year Annual Research Report
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14207096
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
楠見 武徳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70015882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 高 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (00203696)
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Keywords | NMRスペクトル / NMR溶媒効果 / 新Mosher法 / 絶対配置 / キラリティー / NMR新現象 / 溶媒配向 / 磁気異方性効果 |
Research Abstract |
(1)NMRスペクトルは最も頻繁に使用される分析器機の一つである。低分子有機化合物について最も頻繁に使用される溶媒は重クロロホルムであり、多くのNMR現象はこの溶媒中で観測される事象からのみ解釈されて来た。ところが、本研究において、絶対配置を決定できる有効な方法論である新Mosher法について溶媒効果を検討したところ、溶媒分子が溶質分子に弱く配位し、溶媒分子の異方性効果により溶質分子の化学シフトに一定の規則性を持った化学シフトの変化を与える事が判明した。その結果、重クロロホルムのみで使用されていた新Mosher法を他の溶媒でも適用できるという重要な発見をするに至った。これはNMRスペクトルにおける「溶媒効果」の一つであるが、溶媒効果については新しい測定器機による系統的な研究がなされていない。本研究により、溶媒効果を詳細に検討する事により、対象とする分子に関する隠された情報が得られることが示唆された。 (2)キラルなニトロンMPPO(5-methyl-5-phenylpyrrol-N-oxide)の1,3-双極子付加反応を使用してアレンのキラリティーを決定することを試みた。その結果(R)-または(S)を用いると反応は位置選択的に行われ、しかも1,3-双極子反応付加物のNMRスペクトルの簡単な解析で反応に用いられたアレンの絶対配置が決定できることを見いだした。また、アレンに結合する置換基の極性と立体的なかさ高さが大きく反応の方向性に関与することも見いだした。この発見に基づき、多種の置換基を有するキラルなアレンを合成し、今回の方法論の有効性を実証することが出来た。
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Research Products
(5 results)