2004 Fiscal Year Annual Research Report
シグナリング及び非シグナリングに関わるホスホリパーゼA_2の生物薬学的研究
Project/Area Number |
14207098
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 誠 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60276607)
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 講師 (80266163)
新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助手 (60266161)
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助手 (80286864)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / アラキドン酸 / PGE_2 / 免疫組織化学 / アデノウイルス / リゾホスファチジルコリン / 肺サーファクタント / 癌 |
Research Abstract |
本研究では、哺乳動物に20種類以上存在するPLA_2の各分子種の機能を解明し、これを体系化することを目的としている。本年度は特に組織特異的に発現しているsPLA_2分子種の固有の機能について検討を行った。 1.sPLA_2-Xの神経機能:免疫組織化学染色の結果、sPLA_2-Xは末梢神経線維に特有に発現していた。培養神経細胞にsPLA_2-Xを過剰発現させると神経突起の伸張が促進され、この作用はsPLA_2-Xによるリゾホスファチジルコリンの産生に依存していた。また、sPLA_2-Xが組織レベルではzymogenの形で存在し、細胞から分泌された後にN末端が限定分解されて活性化されることを見いだした。 2.sPLA_2-IIIと癌:免疫組織化学染色の結果、sPLA_2-IIIは癌細胞とその周辺の新生血管内皮細胞に発現していた。培養内皮細胞を炎症性サイトカインで刺激すると、sPLA_2-IIIの発現が誘導された。大腸癌細胞にsPLA_2-IIIを過剰発現させると、PGE_2産生の亢進に加えて細胞増殖が促進された。逆に、sPLA_2-IIIのsiRNAを本細胞に導入すると、細胞増殖に抑制傾向が見られた。 3.sPLA_2-Vと肺サーファクタントの分解:免疫組織化学染色の結果、sPLA_2-Vは肺炎組織の気管支上皮細胞に発現していた。sPLA_2-V過剰発現マウスは出生直後に呼吸異常により死亡した。本マウスでは、肺サーファクタントの主成分であるリン脂質が著減しており、このために気道上皮細胞が損傷し、死に至ることが強く示唆された。 4.sPLA_2-V, Xの抗ウイルス活性:sPLA_2-V, Xは気道上皮細胞へのアデノウイルスの感染を抑制することを見いだした。これらsPLA_2によりホスト細胞の形質膜が加水分解され、結果的にウイルスのエンドソームへの取込みがよく際されることがわかった。
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Research Products
(6 results)