2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性ストレス症候群のメンタルヘルス改善のための運動処方プログラムの開発
Project/Area Number |
14208005
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
芝山 秀太郎 鹿屋体育大学, 学長 (00162644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 博 鹿屋体育大学, 副学長 (80056895)
斎藤 和人 鹿屋体育大学, 保健管理センター, 教授 (50170494)
竹倉 宏明 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (00206963)
宮地 元彦 国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 室長 (60229870)
藤本 敏彦 東北大学, 高等教育開発推進センター, 講師 (00229048)
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Keywords | 脳 / 糖 / 最大酸素摂取量 / PET / 乳酸 / 大脳皮質運動野 / 骨格筋 / 情動 |
Research Abstract |
PETとFDGを用いて、3種類の異なる強度(30%、55%、75%VO_<2max>)における運動時の脳の糖取り込み速度を比較観察した。被験者は健康な男子鍛錬者7名(24.9.0±4.8歳)と(34.1±4.2歳)であった。運動強度の上昇に伴い糖取り込み速度は減少し、高強度運動の場合、軽強度運動に比較して32%減少した(低強度38.6±4.6、高強度26.1±5.0μmol/100g/min、p<0.001)。さらに鍛錬者群、非鍛錬者群で比較すると、糖取り込み速度を抑制する能力は鍛錬者群が非鍛錬者の約2倍であった。運動時の血中乳酸濃度と脳の糖取り込み速度の間に有意な負の相関が認められた(r=-0.74、p<0.0001)。近年、乳酸は脳のエネルギー源として注目されており、運動強度が高くなるほど血中で増加する乳酸が、脳のエネルギー源になる可能性も考えられる。脳重量は体重の約2%に過ぎないが、摂取した糖の約20%を消費している。運動時には骨格筋も多量の糖をエネルギー源として消費し、エネルギー源が涸渇すると疲労状態に陥る。従って、脳での糖消費の節約は骨格筋への糖の供給を助長し、疲労の発生を抑制しているものと思われる。また、脳で乳酸がエネルギー源として積極的に利用されることは疲労物質の除去を意味し、筋疲労を遅延させる可能性を示唆している。すなわち、疲労は中枢神経系で認知されるため、トレーニングが運動時の中枢性疲労の発生を抑制あるいは遅延させる可能性を示唆している。また、本研究において身体運動により情動に関わる脳領域が活性化することが明らかになった。脳活動と末梢血中の基質濃度変化に相関が認められ、基質が間接的に運動中、運動後に起こる情動の変化に関与する可能性が示された。身体運動は脳のエネルギー代謝を変化させ、結果的に疲労の誘発を遅延させている可能性が示された。
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Research Products
(6 results)